もはや"現場の対応"では立ち行かない…「カスハラ対策」と「クレーマー対策」の本質的な違いとは
たとえば、JR東日本は、2024年4月に「カスタマーハラスメントが行われた場合には、お客さまへの対応をいたしません」という方針を、高島屋、同年6月に「カスハラと判断した際は対応を打ち切り、以降のご来店をお断りする場合があります」という方針を公表しています。
これらの方針は、カスハラ加害者を顧客とは扱わないと宣言したもので、カスハラ加害者を排除する決意を示したと言えるでしょう。
昔は「カスハラ」とは言わずに、不当なクレームを行う人は、「クレーマー」と表現されていました。クレーマー対策は昔から多くの企業で講じられてきましたが、このクレーマー対策と現在行われているカスハラ対策とでは何が違うのでしょうか。
クレーマー対策は「接客業務の一環」に過ぎない
クレーマーとは、直訳すれば「要求者」という意味であり、一般的には、商品の欠陥や顧客への対応の仕方などについて「しつこく苦情を言う人」のことを言いました。
クレーマーの行為は企業にとっては「著しい迷惑行為」とも言えるので、クレーマーとカスハラ加害者は、ほとんど同じ意味合いで使われていたと言えるでしょう。ところが、昔は、現在と異なって、クレーマーは必ずしも排除されるべき存在とはされていませんでした。
1980年代のアメリカで顧客満足度(CS=Customer Satisfaction)という概念が提唱され、これが日本でも徐々に浸透し、企業において商品開発などに活用されました。「クレームを申し立てた顧客は、クレームを申し立てない顧客よりも再購買の割合が30%高く、問題を解決あるいは満足できた顧客に至っては、再購買の割合が50%高い」とのデータもありました。
そのため、顧客満足度の向上のための手段として「クレーム対応」が積極的に推奨されていたようです。
こうした考えに影響を受けたのか、クレーマー対策本においては、クレーマーも顧客の1人である以上、誠実に対応して、クレーマーをリピーターに育てていくべきとの記載がよく見られました。
そうしたクレーマー対策本では、クレーマーは、あくまでも顧客として扱うべき存在であって、排除されるべき存在とはされていませんでした。





 
         
         
         
        
       
           
           
          
         
          
         
         
         
         
        












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