大御所タレントをMCに迎えたバラエティ番組が大ゴケ…「失敗の本質」見抜いた"おかんの言葉"とは
その企画に「正義」があるかどうかは、2つの項目でチェックできます。
①誰にでも堂々と話せるか?
②みんながその話に乗ろうとしてくれるか?
たとえば「巧妙な詐欺のテクニック」に正義はありますか? 詐欺を中心に据えたアイデアには誰も共感してくれませんよね。進まない企画になります。
僕も偉そうに語っていますが、「正義」のないアイデアで番組をつくり、失敗した経験もたくさんあります。
大御所タレントをMCに迎えた番組がまさかの大ゴケ
ある大御所タレントをMCに迎えたバラエティ番組。僕が総合演出を担当しました。そのとき、僕が考えたのは「何らかの事情でお金が必要な人が、MCとじゃんけん。勝ったらお金をあげる」という企画でした。
じゃんけんは老若男女にわかりやすい勝負なので、シンプルな企画です! これは、多くの人に見てもらえると考えていました。しかし結果は真逆。視聴率は惨敗だったのです。
なぜか。プランニング(アイデア)の時点で、企画に、共感を集められる「正義」がなかったからです。「お金が必要な理由」には共感してもらえても、「じゃんけんに勝つだけでお金をもらえる」のは、「ずるい」と感じる視聴者が多かったのです。
初めてのオンエアのあと、翌朝の視聴率が出る前に、僕は自分の過ちに気づかされました。それは実家のおかんからの電話です。
「トシオ、あれはあかんわ。見ていて気持ちよくなれへんわ。出てる人にがんばれ、っていう気持ちになられへんわ」
すべての失敗をこの言葉で悟りました。
もう1つの失敗は、「スポーツ界のスーパースターは、どのよう育ってきたのか」、一流スポーツ選手の親の「子育て法」に迫る企画です。
子どもを持つ親なら1度はわが子を大谷翔平のようなスター選手に育てたい、と夢見ることでしょう。
このときも、当時のスーパー野球選手のイチローや、スーパー力士の魁皇の親御さんを直撃! 「子育ての秘密」を聞き出せたのです。出来栄えは上々! 満を持して、ゴールデンタイムに放送したのですが……。


















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