エピソード記憶が鍵!「旅行の満足度」を高める裏技。旅を通して"自己肯定感"を高め、その後の幸福を得るために必要なコト

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とはいえ、それは「後づけの体験の記憶」になるため、体験当時の風が吹いたときの心地よさや、匂いなど視覚情報以外の記憶も残る「リアルタイムでの体験の記憶」と比べると得られる満足感はやや弱くなるかもしれません。

その土地でしかできない経験をして、記憶に残す

いくつかの研究では、リアルタイムに体験した事柄をあとで思い起こすことが自尊感情や満足感を高めるという結果が報告されています。

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だから、旅行をする際、さまざまな体験をしたことを通して満足感を高めるためには、一つひとつの体験を大切にできるよう、詰め込みすぎない日程にすることが望ましいのです。

そのような旅行にできれば、リアルタイムの体験が長期記憶に残り、自己満足感や自己評価は高くなるのに、振り返りすらできないくらい予定を詰め込んで、「行ったはいいけれど思い起こせることが少ない」となるのは、せっかく旅行したとしても、とてももったいない気がします。

長く滞在することで詰め込みすぎを解消するのもひとつの方法ですが、肝心なのは、その時間に何をするかです。

長期記憶に残り、自己肯定感を高めるためには、ただホテルで寝ているだけでなく、現地の人と交流したり、そこにしかない特別な場所を訪れたりするなど、その土地でしかできない経験をすることが大切です。

一川 誠 千葉大学大学院人文科学研究院教授、博士(文学)

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いちかわ まこと / Makoto Ichikawa

1965年宮崎県生まれ。大阪市立大学文学研究科後期博士課程修了後、カナダYork大学研究員、山口大学工学部感性デザイン工学科講師・助教授、千葉大学文学部助教授・准教授を経て、2013年より現職。専門は実験心理学。
2000年、「時間学」に興味を持ち山口大学時間学研究所の活動に関わる。人間が体験する時間や空間の特性、知覚、認知、感性における規則性の研究に従事。
著書に『「時間の使い方」を科学する』(PHP新書)、『時計の時間、心の時間-退屈な時間はナゼ長くなるのか?』(教育評論社)、『大人の時間はなぜ短いのか』(集英社新書)など多数。

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