「生きがい」には体力がいる
最近、マクドナルドに行ってある変化に気づかないだろうか。そう、お店で働くシニア世代のスタッフの多さだ。日本のマクドナルドには65歳以上の従業員が8500人以上もいるという。しかもこの10年で、その数は3倍以上に増えているそうだ。
これからもシニア世代のスタッフは増えていくし、マクドナルド以外でもシニアが働く光景は当たり前になっていくはずだ。
彼らはなぜ働き続けるのだろうか。もちろん年金や蓄えのみでは心許ないという経済的な事情もあるだろう。でもそれだけでは説明できないものを僕は感じる。
もっと根っこの部分にあるのは「生きがい」と呼ぶべき、人間が本能的に求める社会とのつながりだろう。
人はひとりでは生きていけない。人は社会のなかに自分の居場所を見つけることで、みずからの存在価値を確かめる生き物だ。
何気なくかけられる「ありがとう」のひと言。それは自分がこの社会で肯定されているという証にほかならない。
人が生きがいを感じるのは、自分の存在が誰かに必要とされているときだ。マクドナルドで働く高齢のスタッフの方々を見ているとそのことがよくわかる。
若いスタッフのようにテキパキ動くのは難しくても、任されている仕事はちゃんとある。席まで商品を届ける。テーブルを拭く。何か不自由はないかと客に声をかける。決して派手な仕事ではない。
でもスタッフの一員として店舗を支えている。お客さんに「ありがとう」と言われ、若いスタッフに「助かります」と言われる。年齢を重ねても居場所はちゃんとつくれる。そんなことを彼らは背中で教えてくれる。


















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