破局後に「過激な報復行為」を招く可能性も…人事は【社内恋愛】のリスクと、どう向き合うべきか

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過去の裁判例のなかには、誹謗中傷行為を行っていたにもかかわらず、小規模の職場において破局に伴う私的怨恨などの感情的不満が表面化するのを避けるのは困難であると評価し、これを解雇の判断のなかで考慮すべき事情であるとしたものがあります。

この裁判例は相当古く、代表者と交際関係にあった相手を代表者が解雇した特殊な事案です。解雇・懲戒解雇までいくのであれば、改善可能性がない、または乏しいといえるまでの事情を積み上げる必要があります。

この観点からすれば、過去に交際関係のあった者同士では仕事をしたくないだけであって、他ではしっかり仕事ができる可能性があります。感情はともかく、しっかり仕事をしてくれとの一言ではありますが、職場環境調整・人材の有効活用を目的に配転を検討することが必要でしょう。

一番厄介なのは「上司・部下間」の社内恋愛

『企業実務11月号』(日本実業出版社)。書影をクリックすると企業実務公式サイトにジャンプします

恋愛は時に人を盲目にし、さまざまな問題事象を引き起こす一因になります。しかしながら、あくまで対処するべきは企業秩序を脅かす問題事象です。セオリーでは注意指導・懲戒処分の方法ですが、基本的には2人の恋愛関係に起因して問題事象が職場で起きるという構造であることから、2人を引き離すことが有効です。

このため、注意指導(もちろん事象の程度に応じて懲戒処分)を行い、配転することが有効だと思います。注意指導のポイントは、改善を目的とするものですので、何がダメなのかということを具体的に示してあげることです。

本人が自省するためにも、ダメだとされる行為を、5W1Hを意識しつつ特定してあげることも重要です。

一番厄介なのは、上司・部下間の社内恋愛です。上司が恋愛に盲目になり、正常な権限行使、業務遂行ができないのであれば、降格も検討するべきでしょう。

清水 裕大(しみず やすひろ)*公式サイトはこちら
三浦法律事務所弁護士、社会保険労務士。人事・労務のほか、データ(個人情報等)やデジタル技術の活用に係る企業法務に注力。経済産業省スタートアップ新市場創出タスクフォース構成員、中小企業基盤整備機構スタートアップ挑戦支援事業アドバイザー等を務める。
企業実務
きぎょうじつむ

仕事をすすめるうえで必要な実務情報や具体的な処理の仕方を正確に、わかりやすく、タイムリーにお届けする月刊『企業実務』。経理・税務・庶務・労務の事務一切を一冊に凝縮。1962年の創刊以来、理論より実践を重んじ、“すぐに役立つ専門誌”を貫き、事務部門の業務を全面的にバックアップしている。企業実務の公式サイトはこちら

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