破局後に「過激な報復行為」を招く可能性も…人事は【社内恋愛】のリスクと、どう向き合うべきか

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このように、規定が有効でない可能性が相当程度残るため、この規定化の狙いは、もっぱら②の抑止効果が目的になります。

しかし、多少程度の抑止効果はあるかもしれませんが、その規定があるからという理由で止められないのが恋愛です。また、最近では、SNS等により情報がすぐに拡散します。「社内恋愛禁止」のような特殊な制度を採用していると、採用活動等にも悪影響が出かねません。

筆者としては、社内恋愛が発覚しても①の観点から措置を講じられない以上、社内恋愛を黙認せざるを得ず、②の観点からもあまり効果が期待できないため、(1)の手段を講じることは得策ではないと考えます。

「恋愛ステージ」によって異なる問題点

(2)人事上の措置を講じることの有効性・意義

まず、基本的な考え方として、単に恋愛の事実が発覚したことを理由に人事上の措置を取ることはできません。対処するべきは社内恋愛そのものではなく、あくまで社内恋愛によって生じる弊害そのものです。恋愛のステージや双方の関係性(同期同士なのか、先輩後輩なのか、上司部下なのか等)に合わせて、さまざまな問題が生じ得ます(図表)ので、その問題に対して、企業秩序を維持するために対処していくという方針が適切です。

(出所:『企業実務8月号』より)

※外部配信先では図表を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください

① 片思い段階の対応

片思いの段階では、一般的に交際に発展させたい動機から、自分をよく見せるために、業務上必要がないにもかかわらず、思いを向けた社員に対して、権限がある者であれば優遇人事を行ったり、勤怠が不良でも甘く見たり、関心を集められそうな社内の重要な情報を共有する等の地位の濫用に及ぶ可能性があります。

この場合、当然のことながら、業務上必要のない行為に及んでいますので、その程度、違反行為に合わせて、具体的な注意指導・懲戒処分を検討するべきです。仮に権限を有する役職者なのであれば、その役職者としての適格にも疑義があるものであり、頻度や内容に応じて人事上の降格を検討することも適切かと思います。

また、この段階では、交際にも至っていないこともあり、一方の意思に反して、セクハラの被害にまで発展してしまう可能性もあります。この場合は、被害者の意思を尊重しつつ、被害事実が確認できる場合には、懲戒処分(性的行為まで及んでいるのであれば懲戒解雇)の検討とともに、加害者を配転するべきです。

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