破局後に「過激な報復行為」を招く可能性も…人事は【社内恋愛】のリスクと、どう向き合うべきか

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なお、企業規模によっては、配転先がないということもあります。この場合、担当業務の見直しやテレワークの実施等の現実的な方法によって、双方が関与する機会をなくす(減らす)方法が考えられないか検討することが望ましいでしょう。

②交際期の対応

続いて交際期では、交際期間や関係性に応じて、両者の関係が変動しやすく、前述のようによく見せたいがために優遇行為に及ぶこともあれば、逆に喧嘩に伴い会話しないこともあり得ます。両者の関係性によって同僚が気まずさを感じるだけにとどまらず、余計に業務を行う必要が生じたり、同僚の業務にも支障が生じたりしている場合もあります。

具体的な支障が生じていない場合には、注意指導を行うことまでも行き過ぎですが、それを超えて、周りの業務にも支障を与えている場合には注意指導の対象とするべきです。

その注意指導にもかかわらず、支障が生じている状態があまりにも長く続くようだったら、各社の懲戒事由(たとえば正当な理由なく誠実な業務遂行をしない、会社の指示・命令に反する等)に合わせて、譴責などの軽度な懲戒処分とともに、配転を行うことが適切でしょう。このような職場環境改善を目的とする配転は必要性が認められるものであり、配転による特別な不利益が生じないかぎりは基本的に対応可能です。

破局後には「報復行為」に発展する可能性も

③破局後の対応

最後に、破局後は、破局した経緯・理由にもよりますが、双方に対して報復行為や反抗的な態度を示す可能性があり、①②のステージとは異なって、過激になりがちです。反抗的な態度に伴う支障は前述と同様の状況ですので、同様に対処するべきです。

一方で、報復行為の1つとして、セクハラ等の被害申告によって相手の名誉を貶めたり、人事上の不利益な取扱いを狙うことがあります。実際に、裁判例にもありますが、破局後に、実は数年前にセクハラの被害を受けていた等の主訴が行われることもあります。

このような場合、性的行為自体は事実として存在することが多いため、それをもって直ちに懲戒解雇などの措置を講じると無効になる可能性が相当程度あり、注意が必要です。どの時点のことを問題視しているのか(交際に関係があった時期なのか)等の慎重な判断を要します。

また、悪口を吹聴するという行為に及ぶこともあります。誹謗中傷まで及んでいる場合は、その内容に応じて、注意指導・懲戒処分を実施するべきでしょう。

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