破局後に「過激な報復行為」を招く可能性も…人事は【社内恋愛】のリスクと、どう向き合うべきか

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このような状況の下では、法令を理由に、社員同士が同意のもとで交際・性交渉した等の一般的な恋愛関係について、人事上の措置を取ることはできません。

「就業規則」による社内恋愛への対処方針

一方で、会社のルールは就業規則等によって定めることができますので、人事担当者としては、一般的に、社内恋愛への対処については、以下のように対応することが考えられると思います。

(1)社内恋愛の禁止を規定化する/誓約書を提出させる
(2)社内恋愛の事実が発覚した場合、人事上の措置(配転・懲戒処分・解雇等)を講じる

(1)規定化・誓約書の有効性・意義

人事的な発想では、就業規則で規定を置く・誓約書を提出させることの目的としては、

①その規定が有効であることを前提に、その違反を理由に人事上の措置を講じること
②抑止効果を狙うこと

にあります。

前述のとおり、就業規則では、一般的に労働条件や服務規律など会社のルールを定めることが可能です。そのルールで決められる権限は雇用契約を前提としているものですので、私生活の自由を何でも制約できるものではなく、あくまで雇用契約の内容を実現するために関連する範囲でしかルールの対象とすることはできません。

ルールを決めるうえでは、そのルールを企業が決められることなのか、決められる範囲に含まれるとしても過剰な規律になっていないのかを考える必要があります。

社内恋愛といっても、職場では普通に接しているケースから、他人に迷惑をかけるケースに発展するものまで、さまざまです。それを一律に禁止することは会社の権限の及ぶところではない自由の制約となったり、過剰な規律となったりしてしまいます。

このため、社内恋愛の一律禁止の規定化は、雇用契約を前提とする、会社が決められる範囲を超えており、無効となる可能性が高いものです(専属契約を締結するアイドルに対する恋愛禁止規定の有効性が認められた裁判例はありますが、雇用契約とは別にするものです)。誓約書において社内恋愛の禁止を誓約させる場合も、同様です。

他方で、一律禁止ではなく、ターゲットとなる禁止行為を設定していくこと、たとえば職場内での不貞行為を禁じるなどであれば、有効となる可能性は高くなってくるように思われます。

次ページ規定化の主な狙いは「抑止効果」
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