「うちはみんなSサイズ」…まるで"プロのモデル"のような先輩がいる職場で陥った摂食障害。この泥沼から抜け出すには?【事例で紹介】

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どう見てもJさんは、岡野さんよりかなり細めの体型です。なので、岡野さんは、制服がキツくて入らなかったらどうしようという不安な気持ちになりました。

Jさんは岡野さんの不安を察したのか、さらに笑顔をつくって、制服は一般的なサイズよりも少し大きめに作られていると付け加えてくれました。岡野さんは、Jさんから暗に「この特別な売り場に、Mサイズを着用する人が配属されるはずがない」と言われているような気がして、Sサイズを手配してもらうことにしたそうです。

それを聞いたJさんは、「岡野さん、この制服、絶対に似合うと思う。楽しみだね!」とうれしそうに言ってくれました。このとき岡野さんは、とにかくダイエットしなければ……と真剣に思ってしまったのです。

ひと通り新人研修なども終わり、岡野さんたち新人の、それぞれの配属先での仕事が始まりました。岡野さんが売り場に行くと、上司(女性30代)とJさんが笑顔で出迎えてくれたので、少し緊張がやわらいだのを覚えています。

Jさんが注文してくれたSサイズの制服を渡され、さっそく着てみると、袖やウエスト部分に圧迫感があり、キツイ感じがしました。

彼女は身長158センチ、体重50キロ、BMIは20なので、普通体重(BMI:18.5〜25)になります。やはりMサイズにするべきだったかな……と少し後悔しました。

制服姿となって、あらためて上司やJさんのところへ行くと、上司から「似合ってますね! これから頑張りましょう」と言われ、Jさんからは「やっぱりSサイズでピッタリだったでしょう!」と言われました。やはり自分1人だけMサイズだとは言えない雰囲気を悟った岡野さんは、愛想笑いをして「ありがとうございます!」と返事をしたそうです。

“美”に対する過度のプレッシャー

岡野さんは配属されてすぐに、想像以上にこの売り場の美容部員の美意識が高く、ここに配属されていることにプライドを持っていることを思い知らされます。

ロッカールームではいつも、Jさんを中心に美容関係の情報や、他社売り場の美容部員のうわさ話が飛び交っていました。美容に関しては、新発売の基礎化粧品やメイク用品のことはもちろん、マツエク(まつ毛エクステのこと)や美容整形まで、さまざまな話が出てきました。

また、他社売り場の美容部員やシフトに入っていない同僚のことを、「あのメイクはないよね」などと笑ったりして、容姿をイジるような冗談もあったようです。

岡野さんは、シフトに入っていない日は、自分も何を言われているかわからないと思って、苦しくなりました。ここに配属されている人たちは皆、自分の容姿にすごく自信があるのだろうと思ったそうです。

配属されて間もない岡野さんは、このような雑談のなかで、先輩方から美容についてのアドバイスをたくさんもらいました。特にJさんは、メイクに絶対的なこだわりと自信を持っています。

岡野さんのメイクはブランド寄りにするほうがいいと、もっと自社製品を使ってメイクをするよう購入を勧められました。

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