「うちはみんなSサイズ」…まるで"プロのモデル"のような先輩がいる職場で陥った摂食障害。この泥沼から抜け出すには?【事例で紹介】
岡野さん(仮名、女性20代)は、学生時代から憧れていた化粧品会社へ入社し、百貨店内にある売り場のコスメブランドコーナーで美容部員として働いていました。
彼女の配属先の売り場は、全国に店舗がある有名百貨店の本店で、美容部員にとって“花形”とされているところです。岡野さんの同期40人中、花形売り場への配属は岡野さんだけで、配属先を聞いたときは舞い上がるような気持ちになったそうです。
岡野さんの配属先の売り場では、自社コスメを使ってメイクすることが推奨され、コスメブランドの制服着用で接客することが義務づけられています。
この百貨店の売り場の制服は、ハイブランド設定にしてあることから、同じ会社であっても特別仕様の制服になっていて、社内でこの制服を着用できること自体がステータスとされていました。
制服は有名ブランドが手がけただけあって、洗練されたデザインでメディアでも取り上げられたことがあるほどです。岡野さんは、配属が内定してからこの制服を着ることを楽しみにしていました。
岡野さんたち新入社員は、本配属前に本社で研修を受けます。その研修の一コマを講師として担当していたのは、岡野さんの配属先の先輩Jさん(女性20代)でした。
彼女は、美人美容部員として雑誌で取り上げられたことがあり、インフルエンサーとしても活躍しています。Jさんが講師を担当するコマは、全国の売り場から入社3年目以内の優秀な社員(売上げや評判など)が選ばれて研修講師を務めることになっていて、入社してから今までを振り返って、この職場で得られた経験などを新人に講演することになっていました。
岡野さんから見たJさんは、プロのモデルのように美しく、話し方なども洗練されていて、一気に憧れの先輩となりました。一方で、こんな才色兼備の女性がいる売り場にどうして自分が選ばれたのだろう、とも思ったそうです。
岡野さんは、配属前にこの売り場に見学に行ったことがありますが、そこにいる15名ほどの女性スタッフは、Jさん以外も全員がとても容姿端麗で驚きました。岡野さんは、周囲から容姿をほめられることもありますが、同期と比較して飛び抜けて美人というわけではありません。
そのため、今回の配属は嬉しい反面、不安な気持ちも入り混じっていたということです。
楽しみにしていた制服を手配されるも…
研修後、Jさんは「これから私たちの売り場に来る岡野さんだよね? よろしくね」と優しく声をかけてくれ、岡野さんはとてもうれしく思いました。それから、Jさんのほうで岡野さんの制服の手配をするからと、早くも制服の説明をしてくれたのです。
制服のサイズは、SSサイズ・Sサイズ・Mサイズ・Lサイズの4種類となっていました。9号サイズを買うことが多い岡野さんが「じゃあ、Mサイズで……」と言うと、すかさずJさんに「うちの売り場の人は、みんなSSかSですよ。私は余裕をもってS。だから岡野さんもSだよね」と言われました。Jさんは笑顔でしたが、なぜか目は笑っていなかったそうです。


















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