1分で2000個完売!「人気ベーグル屋」営む"夫婦の正体"。自宅でベーグル作りを独学で習得→店を開くも1日4人しか客が来ず…。逆転人生を聞いた
この思いつきをきっかけにビジネスとしてベーグルを見ると、想像以上に魅力的に映った。まず、初期投資が少ない。必要なのは、業務用オーブン、ニーダー(生地をこねる機械)とホイロ(発酵器)と業務用の冷蔵庫のみ。しかも、ホイロは電子レンジで代用できる。
たくさんの種類のパンを作らなければいけないパン屋と違い、ベーグルは生地に練り込む具材を変えるだけでいい。ベーグル特有の食感や味を保つために保存する際は冷凍するのが基本で、通販にも向いている。


「僕はなにごとも事前にしっかり検討するタイプなんですけど、ほかにもいろいろ自分にできることはないか探したうえで、一番やっていけそうだと思ったのがベーグルでした」
そもそも料理好きですらなく、ベーグルも「そんなに好きじゃなかった」はずの夫から「ベーグル店を開きたい」と聞いて、絹子さんは最初、「まったくの素人がお店なんてできるのかな……」と戸惑った。
しかし、石橋を何度も叩かなければ渡らないタイプの深田さんから「まずは会社員を続けながら、週末だけ営業する」と聞いて、「それなら、やってみたらいいんじゃないかな」と前向きに捉えた。
「父が自営業だったので、そんなに会社員だとか自営だとかっていうこだわりがなかったんです。それも影響しているかもしれませんね」(絹子さん)
自宅キッチンでベーグルを作るように
なにはともあれ、ベーグルを作ってみないと始まらない。深田さんは市販のオーブンレンジとベーグルのレシピ本を購入。それを見ながら、毎週末、自宅でベーグルを焼き始めた。ベーグル好きの絹子さんも、一緒にキッチンに立った。
最初の頃は、生地が丸まらない、丸まっても途中ではがれてしまうなどうまくいかず、試行錯誤が続いた。ベーグル店巡りを続けながら、どんな機械を使っているのか、どんな材料を使っているのか、観察した。
数カ月もするとそれなりにおいしく作れるようになり、友人、知人たちにも食べてもらうようにした。「おいしい」と言われると嬉しくなり、ベーグル作りに力が入った。

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