ご存じの通り、この一帯は埋立地だ。豊洲地域は全体で、約2平方キロメートルほど。そこに20棟近くのタワマンが林立している。
ここは、大正時代の終わり頃から昭和の初期にかけて埋立工事が行われた。この工事は、1923年(大正12年)に発災した関東大震災の瓦礫処理も兼ねていたらしい。当初はそっけなく「5号地」と呼ばれていたのだが、1937年(昭和12年)に正式に「豊洲」と命名された。

豊洲を上から見ると、どことなく金槌の形に似ている。金槌の頭の部分に地下鉄有楽町線やゆりかもめの豊洲駅、柄の真ん中あたりに豊洲市場がある。
江東区の「地下鉄8号線沿線まちづくり事業」によれば、東京メトロより申請されていた地下鉄8号線の延伸は2030年代半ばの開業を目指しているとのこと。ここでいう地下鉄8号線の延伸とは、東京メトロ有楽町線の豊洲駅から半蔵門線の住吉駅までをつなぐものだ。千石駅(仮称)と枝川駅(仮称)が新規で開業する予定だ。
豊洲から住吉まで、現在は電車を使えば2回の乗り換えで20分くらいだが、延伸が完了すれば乗り換えなしで9分ほどに短縮されるらしい。全体の工事費は2690億円。そうまでして「便利」にすることに、どれだけの意味があるのか私にはわからないが、沿線では延伸に伴う新駅オープンを当て込んで、タワマンを含む開発が始まっている。今後この界隈の注目度がさらに上がるのは間違いなさそうだ。

レインボーブリッジと東京タワーが見えるタワマン
豊洲には2000年頃から、20階程度のマンションが建ち始めた。当時竣工したマンションの価格を調べると、3LDK(約75平方メートル)で軽く1億円を超す。築20年以上の物件でもこの価格だ。新築物件はさらに高止まりしている。
首都圏の物件価格を押し上げる要因のひとつとして、外国人ユーザーの存在を指摘する見方があるが、実際に豊洲の物件も海外の人たちから注目されている。
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