(第45回)中国乗用車市場の激烈な価格競争

✎ 1〜 ✎ 110 ✎ 111 ✎ 112 ✎ 最新
拡大
縮小

さらに注目すべきは、比亜迪汽車(BYD Auto)だ(これは、Build Your Dreamの頭文字を取ったもの)。同社は、パソコンや携帯電話用リチウムイオン電池の製造・販売会社であるBYD社が、03年に年産2万台規模の自動車メーカーを買収して設立した会社である。09年の出荷台数は45万台を突破し、外資を含む乗用車メーカーとして第6位になった。中国資本の乗用車メーカーとして、それまでトップメーカーだった奇瑞や吉利を抑え、1位になった(ただし、最近では奇瑞や吉利に逆転されている)。ウォーレン・バフェットが率いるバークシャー・ハサウェイ社の子会社が出資をするなど、話題を呼んでいる。

これらの企業は、外国メーカーとの合弁も技術提携もなく、政府からの援助もあまり受けていない。

ただし、合法といえるかどうかぎりぎりのコピー戦略をとっている。奇瑞の超小型車チェリー・QQと東方之子は、それぞれ、ゼネラル・モーターズが中国で販売している競合車種シボレー・スパークとシボレー・エピカに酷似しているといわれた。それだけでなく、奇瑞の英語名のCheryが、シボレーの愛称のChevyと一字しか違わないことが問題とされた。この問題で、03年にGMは奇瑞を2度告発した。

価格競争を生き抜くには

民族系メーカーがシェアを拡大できた大きな原因は、低価格戦略だ。外資との合弁メーカーの車は15万~20万元程度だったが、それより大幅に低価格の車を開発した。BYDが09年に発表したF3は、外観はトヨタのカローラとそっくりだが、販売価格はカローラの半分の7万元だった。08年には実売価格が約6万元になった。中国では5万元以下の自動車も多い。奇瑞のQQの最安値車は3万元程度だ。インドのタタが生産したナノは20万円程度で、「安全性は大丈夫か」という声があったが、それとあまり変わらない価格だ。

関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT