どこの国でも、自動車産業は寡占的巨大企業によって構成されている。巨大な流れ作業組立工場には、大資本が必要だ。部品メーカーも系列になる場合が多い。そして、熟練労働者や販売網が必要であるため、新規参入は難しい。日本の状況は、本連載のこれまでの回で見た。
しかも、国との関係が深い。日本では、1936年の「自動車製造事業法」によって自動車製造が許可制とされ、豊田自動織機製作所と日産自動車が許可会社とされた。それ以来76年間にわたって、両社は日本の自動車産業の中心企業であり続けている。純粋に戦後の民間企業といえるのは、ホンダだけだ。
中国においても、もともとは、国有企業が自動車生産を行っていた。なかでも大きいのが、第一汽車(53年に中国で最初の自動車メーカーとして設立され、政府要人用の紅旗などを生産していた)。東風汽車(69年に設立)、上海汽車(上海汽車装配廠が58年に「鳳凰」を開発したことから始まる)である。
中国では外資単独での自動車産業進出は認められておらず、必ず合弁になる。これは、自動車が戦略産業であるため、外資の支配を許さず、同時に中国への技術移転を促すという中国政府の方針による。
最近では、中国政府は「4大4小」といわれる業界再編を進めようとしていた。全国的再編は、一汽、東風、上汽、長安の「4大」を中心にしようとするものである(地域的再編の核となる4小は、北汽、广汽、奇瑞、重汽)。
政府のこうした政策を考えても、大企業が支配的になって不思議はない。表に示す最近の出荷台数でも、「4大」が上位を占める。フォーチュン500には、石油、通信、金融などの分野の国有企業と並んで、これらの自動車会社が顔をだす。