「セリエAへ行くと考えたら怖さが勝った…」 日本にとどまり続けたサッカー元日本代表・今野泰幸が見せた"充足"と"反省"
08年1月にドイツ・ヴォルフスブルクに入団した長谷部誠(フランクフルトU-21コーチ)、オランダ・VVVフェンロに移籍した本田圭佑は、まだ日本代表に定着していなかった。10年夏にドイツのボルシア・ドルトムントに加入し、大ブレークした香川真司(セレッソ大阪)も、その時点では「有望な若手」にすぎなかった。
こうした面々の活躍によって、日本人選手の青田買いが一気に進み、現在のような大量移籍時代が到来したという見方もできる。今野は少しタイミングが早かったのかもしれない。
「圭佑がオランダのフェンロやロシアのCSKAモスクワで自分の道を切り開いていく姿を目の当たりにして、うらやましいなと思ったし、自分も思い切ってチャレンジしていたらもっとスーパースターになっていたかもしれないという思いはあります」
今野と同じく対人に強いボランチ・佐野海舟(マインツ)を見ても、ドイツで存在感を増している。直近9月20日のアウクスブルク戦での1ゴール1アシストに象徴されるとおり、日に日にすごみを増している印象もある。
「彼は能力が高いし、うまいし、環境にスムーズに適応している。僕も厳しい環境に身を置いて、いろんな人から吸収して、成長していくタイプ。だから、佐野のように海外に行っていたら、めちゃくちゃ成長できていたかもしれない。だけど、やっぱり怖かったかな……」
香川真司との間に感じた共通点

その慎重さは東北人というバックグラウンドによるところも大きいだろう。「本来の自分は壁を作るタイプ」だと今野は分析する。
「どの環境に行っても、僕は『この選手はどういう人なのか』をまず見ちゃうタイプ。南アやブラジルW杯の頃は圭佑とか真司、ウッチー(内田篤人)、岡ちゃん(岡崎慎司=バサラマインツ監督)のほうからガンガン来て、いじってくれた。みんな『コンちゃんは後輩にいじられすぎてる』と思っていたかもしれないけど、僕にとってはそれが心地よかった。ストレートに本音を言い合える関係性がよかったし、プレーしていてすごく楽しかった」
このうち、香川に関しては、同じ東北にいたことがあるためか、性格的に似ていると今野は感じていたという。「真司は『絶対似てない、やめてよ』って言うかもしれない」と苦笑するが、サッカーと真正面から向き合って、真剣に考えてプレーする姿、悩んで成長するところも相通じている。
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