海外展開では、現地に合わせたコストを実現する--カルビー会長兼CEO 松本晃
2008年3月期、カルビーの営業利益率はわずか1.4%。国内のスナック菓子で4割超のシェアを持ちながら、なぜこれほど利益率が低いのか。世界に目を向ければ、食品業界は利益率が高い産業で、営業利益率10%を超える企業も多い。日本だけは不思議な国で、販売単価は高いのに、食品メーカーは全然儲かっていない。
私はまず、コストリダクションを社員に理解させることから始めた。カルビーの社員はすなおで理解は進んできた。ただ、納得して行動するにはまだ時間を要する。
今後の海外展開において、特に大事なのは3つ。まずはコスト。現地の顧客が買ってくれる価格を知り、そこから利益を引いたコストで製造するという考え方が不可欠。作ったものに利益を上乗せして売ろうと思っても、売れるわけがない。食の安全・安心や味は絶対に犠牲にできないが、パッケージなどでは妥協もしていく。
2番目は提携するパートナー。世界中に単独で出掛けていき、すぐに成功する力はカルビーにはまだない。カルビーの強みは、商品開発力と製造技術。パートナーには、現地の小売りの棚を確保する販売力、売れ筋商品とその価格を見定めるマーケティング力を求めたい。M&Aも視野に入れてはいるが、魅力ある会社は総じて高い。買収後の経営に失敗し、巨額ののれんの減損を迫られるというシナリオは避けたい。