「家庭でも職場でもない場所」が自分をラクにする。イギリス在住のベストセラー作家・ブレイディみかこさんが考える"他者とのつながり方"

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シスターフッドで女性たちが頑張っていることに対して拍手をしたくないならしてくれなくてもいいし、応援だってしてくれたほうがうれしい。無理強いはしないけれども、「ブラザーフッドはどうなるんだ」って、すぐ対抗の構図にする必要はないと思います。

本文②『SISTER“FOOT”EMPATHY』(集英社) /コロナ禍以降の社会の動きを鋭く見つめ、これからの世界とわたしたちを考えるための、エンパワメント・エッセイ集(撮影:)
新刊『SISTER“FOOT”EMPATHY』(集英社)(撮影:梅谷秀司)

女性同士の分断も

――本当ですよね。一方で著書にもあるように、女性同士が集まるとその人の置かれた状況によって分断が起こって、「女性の敵が女性」みたいなこともあると。悩ましいです。

私も、女性同士がいろんな垣根を越えて一致団結するって絶対に無理だろうって思っていたんですよ。

働いている女性と専業主婦との間の分断があったり、子どもがいる人といない人とか、夫の姓を名乗っている人と名乗っていない人とか、細かく言えばいっぱいありますけど、とにかくいろいろ分断線がある。

でも、アイスランドのストライキ※の話を知ると、彼女たちはそこを乗り越えているじゃないですか。あのストライキのすごいところは、働いている女性だけじゃなくて、専業主婦も家から出て、家事労働と育児を放棄したってところです。高学歴の女性たちから低賃金労働者の女性たちまで、若い世代から孫のいる世代まで、みんなが一丸となって参加した。いまの私たちの常識だと、「これ、絶対フィクションだろう」と思うぐらいの出来事です。

もちろん、そこに行き着くまでには、いろいろな話し合いがあったり、妥協があったりしたわけですけれど、諦めず、粘り強く議論を続けて折り合いをつけて合意し、結果を残した。これって、希望の光ですよね。

※1975年10月24日にアイスランドの女性の約90%が参加したウイメンズストライキのこと。この行動がきっかけで、アイルランドの男女平等の政策が大きく前進した。ドキュメンタリーは映画『女たちがいなくなった日“男女平等先進国”アイスランドの原点』として、10月25日から全国公開される予定。

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