「家庭でも職場でもない場所」が自分をラクにする。イギリス在住のベストセラー作家・ブレイディみかこさんが考える"他者とのつながり方"

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――日本にもパブみたいな場所がほしいです。というか、パブじゃなくても自分の居場所はほしいです。どうやったら見つけられるでしょうか。

そうですね……、例えば、行きつけの本屋さんを1つ作るっていうのはどうでしょう。最近は、個人経営の小さな本屋さんも少しずつできてますし、そういうところがコミュニティのハブになれますよね。

イギリスでは、子育てや仕事を終えてから新しいことを始める女性たちの間で、本屋経営がかなり人気なんですよ。それこそシスターフッドじゃないけれど、女性の友だち同士で本屋を始めたりとかね。

本屋でいえば、高校生のときだったかな、私は昔の本が好きで小さな古本屋さんに出入りしていたんですよ。そこには本好きの人たちが本を買いに来たり、売りに来たりするんだけど、そこにいるとみんなだんだん顔馴染みになっていくんです。

本の値付けをしている店長さんに向かって、子ども連れの常連客が「ちょっと今から母親の見舞いに行くので、この子を見ててくれない?」とか、「買い物してくるから、ちょっと荷物を預かってて」とか、そんなことが日常的にあって。楽しかったですよ。

――いいですねぇ。

結局、家庭だって子どもが巣立てば夫婦2人になるし、離婚だったり、死別だったり、再婚だったりで、家庭や夫婦の形も変わっていく。仕事だってそう。転職したり、独立したりすれば、やっぱり変化していくものじゃないですか。けれども、サードプレイスでの付き合いはずっと変わらない、みたいな。

ブレイディみかこさん(撮影:)
(撮影:梅谷秀司)

日本はサードプレイスがなさすぎる

――そういう場があるだけで、だいぶラクに生きられそうです。

サードプレイスがなさすぎるんですよ、日本は。

これまで自分が関わらなかったような世代の人、外国の人がそこにいたら、自分の家族や知人がくれないようなインプットがもらえるかもしれない。「こういう考え方もあったんだ」とか、「こんな生き方している人もいるんだ」とか発見もあるし、まさに多様性がそこにあるって感じじゃないですか。

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