"聖地巡礼ブーム"の始まりは1980年代…超名作「尾道三部作」からだった! 舞台地となった「尾道」の《泣きそうなくらい懐かしい》風景

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そして、千光寺から歩いて街に下る途中には、「文学のこみち」と呼ばれる散歩道があります。ここは志賀直哉の『暗夜行路』や林芙美子の『放浪記』など、数々の名作小説や詩歌の舞台となった場所で、歩いているだけでその世界に浸ることができます。

尾道
千光寺の展望台から見下ろす尾道の絶景(筆者撮影)

「日本一短い船旅」の先にあるのは…

現在の尾道は、四国に渡る「しまなみ海道」の本州側の出発点としても知られています。尾道から愛媛県今治市を結ぶ全長約60kmの一連の道路の総称で、いくつもの島をつないでいます。

尾道から出て最初に渡る島が、尾道水道の向かい側の「向島」です。サイクリストたちはこの尾道水道をフェリーで渡ります。

尾道から向島までの航路は全盛期9区間あったようですが、1999年の新尾道大橋開通などもあって徐々に数を減らし、現在は「駅前渡船(尾道駅前~富浜)」と「兼吉渡し(土堂~兼吉)」の2航路のみとなりました。

「兼吉渡し」は、「日本一短い船旅」として有名で、所要はわずか4分、運賃は大人100円です。尾道が舞台となっているNHKの連続テレビ小説『てっぱん』(2010〜2011年)にも登場しました。

尾道
「兼吉渡し」で右奥に見える「向島」へと向かいます(筆者撮影)

向島側のフェリー発着場(市営バスの兼吉バス待合所)の脇には、大林宣彦監督の新尾道三部作の1つ、映画『あした』(1995年)で「呼子丸の連絡船待合所」として使われたロケセットが設置されており、ここ向島がメインのロケ地であったことを気づかせてくれます。

もう1つの、駅前桟橋から向島(富浜桟橋)を結ぶ「駅前渡船」は、フェリーではなく旅客船で、自動車の積載はできません。筆者が利用したときは、高校生で満員でした。こちらも、乗船料金は大人100円です(自転車やバイクは手荷物運賃としてプラス10円)。

向島
「兼吉バス待合所」は、『あした』では「呼子丸の連絡船待合所」として登場しました(筆者撮影)
向島
『あした』で使われたロケセットが残っています(筆者撮影)
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