「無理しなくていいからね」上司の過度な気づかいが部下育成にマイナスでしかない理由

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わかりやすさよりも大切な話し方
過度な気遣いは、かえって部下を不安にさせてしまう。部下を成長させる話し方について解説する(写真:polkadot/PIXTA)

なぜこんなに気遣いをしているのに、次々と辞めてしまうんだ……。

新任の営業所長は頭を抱えていた。この半年間で若手営業が3人も退職し、残る20代の営業たちも「辞めたい」と漏らし始めている。所長は部下にプレッシャーを与えないよう細心の注意を払ってきたつもりだった。しかし、その気遣いこそが最大の問題だったのだ。

そこで今回は、真に部下を成長させる話し方について解説する。部下との関係に悩んでいるリーダーは、ぜひ最後まで読んでもらいたい。

上司の過剰な気遣いが生んだ悲劇

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この営業所で起きた出来事を詳しく見てみよう。4月に就任した新しい営業所長は、前任者とはまったく違うアプローチを取った。前任者は体育会系で、高い目標を掲げて部下を鼓舞するタイプだった。

新所長は正反対だった。「部下にプレッシャーを与えてはいけない」という考えから、常にこう声をかけていた。

「大丈夫? この数字きついよね」

「もうちょっと目標を下げようか」

「無理しなくていいからね」

彼の口ぐせは「大丈夫?」だ。若い部下たちが重圧で潰れることを防ぎたかった。だからついつい「大丈夫?」「無理しないで」を連発する。しかし、この言葉を聞いた若手たちは、まったく違う解釈をした。

「所長がこんなに心配するということは、やはり達成不可能な目標なんだ……」

「自分たちには、到底無理な目標を押し付けられているに違いない」

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