荒波の中稼ぐ液晶部材、強さの源は「寡占力」 部材メーカーの好況は今後も続くのか
高収益を謳歌する部材メーカーだが、今後も利益率を保てるかどうかは不透明だ。
旭硝子は、近年のガラス基板の価格下落によって、かつて40%を誇った部門利益率が12%台に落ち込んだ。今年は価格が落ち着きつつあるものの、まだ予断を許さない。京東方科技集団などの中国パネルメーカーが増産を重ねた結果、テレビ向けの大型パネルが供給過剰ぎみだからだ。メーカーの在庫調整次第で、さらなる市況悪化の可能性も出てくる。
抜けられない、アップルリスク
中小型液晶分野では、ぬぐえないリスクもある。米アップルへの依存だ。モバイル機器の分解調査を行うフォーマルハウト・テクノ・ソリューションズの柏尾南壮氏は、「アップルはハイエンドの液晶部材を特注するため、メーカーは高い価格で売ることができる。対して、中国メーカーのスマホは、既製品を安く使う傾向がある。アップルが停滞すれば、部材メーカーも途端に苦しくなる」と分析する。
最大のリスクは部材自体が不要になることだ。たとえば、タッチパネルは液晶に内蔵するインセル方式が普及しつつあり、フィルム方式と主導権争いをしている。自然光を反射させて液晶を映す反射式液晶や、有機化合物を発光させる有機ELの開発も進むなど、これらの普及で不要になってしまう部材もある。
高収益を享受する部材メーカーも、技術優位性が一度失われれば、容赦ない価格下落にさらされ、果てはほかの技術に代替される。牙城を守り抜くためには、今後も絶え間ない技術開発が必須だ。
(「週刊東洋経済」2015年11月7日号<2日発売>「核心リポート06」を転載)
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