荒波の中稼ぐ液晶部材、強さの源は「寡占力」 部材メーカーの好況は今後も続くのか

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スマホの普及に伴い、中小型液晶の需要は急増している(撮影:大澤誠)

赤字の要因は液晶だった。10月26日、経営再建中のシャープは、4〜9月期の純損益が840億円の赤字になったと発表。スマホ用中小型パネルの販売低迷と価格下落が響き、通期の営業利益予想も、従来の800億円から100億円へと、巨額の下方修正を迫られた。

液晶事業に頭を悩ますのはシャープだけではない。中小型液晶パネルで世界大手の一角であるジャパンディスプレイ(JDI)ですら、前期の営業利益率は1%に届かなかった。

部材メーカーは「儲かっている」

が、液晶に使われる部材メーカーに目を向けると、厳しい環境でしたたかに稼ぐ、日本企業の姿が見えてくる。

図は、液晶ディスプレーに使われている、部材メーカーの部門利益率・増益率をまとめたものだ。タッチパネルを手掛ける日本写真印刷、偏光板の日東電工など、意外にも高収益を誇る企業の多いことがわかる。

これらに加え、偏光板の保護に使われるTACフィルムを製造する富士フイルムも、液晶分野で稼ぐ企業の一つだ。

高い収益性の背景にあるのは、各市場の寡占状態。テレビやパネルといった川下分野において、日本勢は、サムスングループとLGグループのテレビ2強を擁する韓国勢に加えて、中国、台湾勢との競争を強いられてきた。

一方で部材は、プレーヤーが集約されている。たとえば液晶層は、独メルクと、チッソ傘下のJNCで、約9割のシェアを占める。ガラス基板や偏光板についても、2〜3社の大手メーカーが市場を分け合っている状況だ。

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