そのイベントには、求めていた爬虫類もたくさんいた。なぜ爬虫類を選ばなかったのか。
「爬虫類も見たんですけど、やっぱりフクモモ(フクロモモンガ)のかわいさが衝撃的で、心を奪われてしまったんです」
爬虫類のひんやりした手触りより、ひろさんは柔らかなぬくもりを選んだ。オスのフクロモモンガを「ジゲン」と名付け、男ひとり、オス1匹の生活が始まった。
モモンガはリス、フクロモモンガはカンガルーの仲間
フクロモモンガは、モモンガの一種ではない。モモンガはげっ歯類で、フクロモモンガは有袋類だ。祖先をたどればモモンガはリス、フクロモモンガはカンガルーと交差する。「滑空」というよく似た性質は、同じ環境に適応するうちに似た機能を進化させる「収斂進化(しゅうれんしんか)」の結果らしい。
ひろさんが家族に選んだのは、有袋類の仲間であるフクロモモンガ。飼い主コミュニティでは「フクモモ」という愛称で呼ばれている。
カンガルーの仲間だけに野生下ではオーストラリア周辺に分布し、夜行性で群れを形成して生活している。飼育下での平均寿命は10年以上。食性は雑食で、エサとして売られているペレットの他に、虫も食べればささみも食べる。
飼育下では、日中ケージ内で眠り、活動的になる夜間にケージから出し、「部屋んぽ」(部屋のなかでの散歩)をさせる。ジゲン君の場合は夜9時か10時ごろに起き、活動を開始する。ケージに入れたままで飼い主とのふれあいも少ないと、群れで生きるフクモモはストレスを感じ、夜鳴きや自傷行為に至ることもあるという。
ひろさんは、展示会場でフクモモ飼育に必要なものをすべて買い揃え、ワンルームの部屋にジゲン君を迎えた。ケージの中にはポーチのような寝床を作り、止まり木や食器、給水ボトルを設置する。ケージの床には糞尿を吸い取るためにペットシーツを敷いた。

ケージ
寝床・ポーチ
止まり木・ステージ・おもちゃ
食器・給水ボトル
床材(ペットシーツ)
エサ(ペレット)
フクロモモンガといえば、気になるのが「におい」だ。
特にオスは、臭腺からの分泌物でマーキングをする習性がある。こまめなケージ掃除に加え、ひろさんの場合、脱臭機を購入して臭い対策をしているという。
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