「僕を待っていてくれる存在が欲しい」アラサー理系男性が"カンガルーの仲間"に一目ぼれ→溺愛の現在「威嚇する姿もかわいい」

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「必ず書籍や論文を参考に、エビデンスのない情報は発信しないよう心がけています」

フクロモモンガの色分けを「メンデルの法則」を引用して解説し、去勢手術に踏み切った理由をQCDのベン図で表現。ひろさんのブログには、論理的で合理的、そしてちょっと不器用なフクロモモンガへの偏愛が詰まっている。

仲睦まじいひろさん・もえさん夫婦に、フクロモモンガとの生活について伺った。

理系男子、フクロモモンガに出会う

フクロモモンガのジゲン君
ひろさんの家に舞い降りたフクロモモンガのジゲン君(写真提供:ひろさん)

幸せにつながる扉の前にはたいてい、もふもふした動物が落ちている。ひろさんの場合、漠然とした不安と焦燥感の先に、その扉が現れた。

仕事が終わると、暗く冷たい部屋に吸い込まれるように帰宅する。大学院卒業後、自動車メーカーにエンジニアとして就職し、4年が経過していた。仕事は充実していたが、これといった趣味もない。いつのまにか友人もひとり、ふたりと結婚し疎遠になっていく……。30歳を前に、「なんとなく不安」が澱のように積み重なっていた。

「よりどころが欲しかったんです。僕を待っていてくれる存在が」

ひろさんは、静かな声で淡々と当時を振り返る。その頃からぼんやりとペットの飼育を考え始めた。猫を飼いたかったが、当時住んでいた部屋では難しい。できれば引っ越しはしたくない。ハムスターもいいが、短命だ。愛情が深くなったころに失うのはつらい。たどり着いたのは、爬虫類だった。

ひろさんは、東京で開催されていた爬虫類の展示即売会に足を運ぶことに。展示会には爬虫類だけでなく、鳥類や小動物のブースもあった。

「そこで一目ぼれしたのが、フクロモモンガでした。店の人に何匹か手に乗せてもらったんです。フクロモモンガって本来臆病な生き物なんですが、1匹だけ僕の手にすり寄ってくる子がいて。『なんてかわいいんだ、うちに来るか?』って……」

照れ隠しなのか、ひろさんは少しうつむきながら語尾を濁す。「そうだったの?」と、もえさんがひろさんの顔を覗き込んで笑った。当時の話を聞くのは初めてだそうだ。

フクロモモンガの赤ちゃん
ひろさんの指にしがみつく、フクロモモンガの赤ちゃん(写真提供:ひろさん)
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