それは「人の心を動かす」ことだ。部下をその気にさせ、チームをまとめ、組織を活性化させる。部下やメンバーの心を動かすためのデータがAIにインプットされていない以上、人間がそうした機微を判断するしかない。実際、企業の現場では変化が起きている。
大手のIT企業では、AI活用と人材マネジメントを同時に進めている。HRの責任者は、AIに任せる仕事と任せない仕事の線引きを明確にしているという。その中で最も重要視されているのが、マネジャーの「人を育てる力」だ。
部下の成長を支援し、キャリアを導き、組織に貢献する人材を育てるのだ。この能力を持つ上司こそが、AI時代でも必要とされ続ける。
逆に、この能力を放棄した上司はどうなるか?
部下育成を放棄した上司の末路
部下育成を「面倒」と切り捨てる上司の未来は暗い。まず、自らの存在価値を失うだろう。
AIが定型業務をこなす時代、管理職の仕事は「数字の管理」から「人の育成」へとシフトする。エクセルの数字を管理するだけなら、AIのほうが優秀だ。
次に、組織から必要とされなくなる。部下が育たない組織は成長しない。優秀な人材は、自分を成長させてくれる上司のもとに集まる。育成を放棄した上司のチームからは、人材が流出する。
最後に、市場価値がゼロになる。転職市場でも「部下育成経験」は重要な評価項目だ。何人育てたか、どう成長させたか、具体的な実績を問われる。これをハッキリとアピールできない管理職に、魅力はない。
実際、私がコンサルタントとして見てきた企業でも同じだ。
部下育成に熱心な管理職は、どの企業でも引く手あまただ。いっぽう数字の管理しかできない管理職は、次第に仕事がなくなっていく。これが現実である。
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