飲食店専門税理士は見た! 「繁盛店の経営者」が、なぜか2店舗目でつまずいてしまう"やっぱり"な裏側

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①数字嫌いのワンマン経営者

都内を中心に居酒屋7店舗を経営していたAさんは、1店舗目を出店したとき、細かな売上予測や原価管理などをしなくても成功できました。そのため、数字をほとんど見ずに独自の判断で出店攻勢をかけ続けました。

どの店もそれなりに繁盛していたのですが、社内の管理体制の仕組み作りをなおざりにしたまま多店舗展開を続けたため、不採算店舗が出始めると、一気に7店舗から3店舗まで縮小せざるを得なくなってしまいました。撤退資金の捻出や毎月の借入金の返済、社会保険や消費税の支払いなどで、倒産寸前に追い込まれてしまいました。

このような例は、お店の勢いに任せたどんぶり勘定型の経営スタイルであり、飲食店の経営者に最も多いパターンです。

一業態の成功による勢いに任せた強引な出店により、多店舗展開を推し進めるも、お店の管理がまったくできていないため、お客様の入りが悪いわけではないのに、いつも「なぜかお金が手元に残らない」「支払いが苦しい」と嘆くことになります。

現場では食材等の仕入、アルバイトの人件費、水道光熱費、消耗品などの経費をじゃぶじゃぶと使っているが、売上が高いため、なんとか利益を確保できている──というようなお店が多いのです。

それでも、お客様が入って売上が取れているうちは大丈夫ですが、いったん逆風が吹き始め、1店舗でも閉店が出てしまうと連鎖閉店が起こりかねず、かなりのダメージを負ってしまう可能性が高いのです。

必要なのは「なぜヒットしたのか」を把握すること

②再現性のない一発屋経営者

都内でイタリアンレストランを開業したBさんは、自身の感性により、開業時の1店舗目がいきなり繁盛店となりました。その後、2店舗目は居酒屋、3店舗目は寿司屋と1店舗目とまったく異なる業態を、別々の立地で開業しました。

社長の感覚に頼った経営をしていたため、仕入の統一などのスケールメリットを生かせないまま、経営が安定せずに2店舗目の居酒屋と3店舗目の寿司屋は撤退に追い込まれました。

4店舗目としてフレンチレストランを出店するために融資を受けようとした際には、金融機関の審査で融資が通りませんでした。

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