「タワマンは終わった」との声も…千代田区"マンション転売規制"でバブル崩壊? 元フジアナで不動産投資家の西岡孝洋氏が指摘する「本当のリスク」
しかし、おそらくこれは千代田区も想定内だろう。今回の要請で千代田区が問題提起した真の意味は、住宅価格の上昇を「過度」であるとはっきりと表現したことにあると考える。
国外からの投機、つまり、海外投資家の参入で「過度」に価格が上昇し、区内に居住したい人たちが住めない。需要だけが増えていく現状へのいらだちが文面からにじみ出る。そこにあるのは、はたしてこの需要は本当の需要なのか? という問題意識だ。
海外投資家による投機目的のマンション取引がなくなれば、確かにマンション価格は下がるだろう。
そのための方策はいくつか考えられる。
たとえばカナダのように都市部の外国人の不動産購入を制限する法律を作ること。
また、すべての投機的な取引を抑制するため、短期譲渡所得の課税強化のような国策レベルの手当ても考えられる。現行では5年以内の短期譲渡で約40%に過ぎない税率を、たとえば2年以内はさらに重くする、など。いずれにしても自治体レベルでは解決できず、国が考えるべき問題だ。
そして、確かに、ここまですればマンション価格、特にタワマンの価格は下がるだろう。

タワマンを購入するうえでの「本当のリスク」
では、ここから、「本当のリスク」について考えたい。
ここで皆さんに問いたい。去年まで3億円の価値があったタワマンの1戸が、今日1億円に下がったとしよう。あなたはこの部屋を喜んで買いますか?
今日が底値で買い時であり、明日からマンション価格が上がっていくという根拠はない。私だったら、「1億で買えたのはいいが、来年には5000万円になるかも」という恐怖心で、買えないと思う。
私は17年間で6つの住戸を売買した。その中で、安心して今が買い時だ、と思えた瞬間など一度もなかった。
2009年、今や“名作タワマン”と呼ばれ、分譲時の価格から4倍に跳ね上がった港区の物件の購入を検討したことがある。
販売業者は私に、値下げをするので買ってくれませんかと提案した。売れ残っていたのだ。それでも私は、この物件は価格が下がるかもしれないと躊躇し、買い逃した。
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