「強制移住」に「82%の土地併合」…イスラエルをおそるべきパレスチナ人の排除に駆り立てるのは、「民主的なユダヤ人国家」という矛盾した理念

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ガザでイスラエルの攻撃を受け、家財を持って南部に避難するパレスチナ人(写真:Anadolu / GettyImages)

イスラエルが止まらない。

ハマスとの停戦交渉には一切、応じず、ガザ市への攻撃を拡大するとともに、仲介に奔走するカタールの首都ドーハにミサイルを撃ち込み、アメリカの怒りさえ買っている。そしてパレスチナ人の飢餓状態はますます深刻になっている。

国際社会から激しく非難され一段と孤立を強めているにもかかわらず、なぜイスラエルの暴走は止まらないのか。そこには建国当初から解消できない深刻な矛盾が絡んでいる。

民主主義的な「ユダヤ人国家」という矛盾

1948年に独立したイスラエルは独立宣言に「イスラエルはユダヤ人国家」を掲げるとともに「すべての住民の社会的、政治的諸権利の完全な平等を保障」すると民主主義的な原則も盛り込まれている。

ところがイスラエルはパレスチナ人が住む土地に、欧州などからシオニズムを掲げるユダヤ人が移住して作り上げた国であり、追い出されたパレスチナ人との間の対立は避けられない。その結果、「ユダヤ人国家の建設」と民主主義的原則は、完全に矛盾するものになっているのだ。

土地の領有や民族の対立はしばしば紛争につながる。

イスラエルはパレスチナ人との緊張関係を、ヨルダン川西岸地区とガザ地区に多くのパレスチナ人を力で封じ込めて抑え込もうとしてきたが、パレスチナ人の逆襲で何度も危機的状況に陥った。

そして、2023年10月7日のハマスの侵攻と、それに対するイスラエルの過剰なまでの報復攻撃によってイスラエルの思惑は完全に崩壊した。

ガザでイスラエルによる無差別的な攻撃によってすでに6万人以上のパレスチナ人が死亡し、さらに意図的な援助物資の搬入規制で多くの市民が飢餓状態に追い込まれている。

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