(第44回)重要なのは利益率、量的拡大ではない

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第一に、アメリカの場合は、アメリカ国内の現地生産もあるが、日本で生産した車を輸出することが中心だった。したがって、円安のメリットを享受することができた。03年以降、アメリカに対する日本の乗用車輸出が異常ともいえる勢いで増加したのは、顕著な円安が進んだからだ。円ドルレートは03年12月の1ドル=107円から07年6月の1ドル=123円まで円安になったので、単純に考えれば、日本車の価格競争力は13%程度高まったことになる。

これに対して中国市場で売る車の大部分は、中国で現地生産されたものである。日本から中国への完成車の輸出もないわけではないが、あまり多くない。したがって、中国での自動車ビジネスに関しては、為替レートの影響はあまり大きくない。

第二の違いは、競争相手の存在だ。もちろん、アメリカ市場でも、アメリカやドイツなど欧州のメーカーが競争相手として従来から存在していた。しかし、上記の円安の期間には、存在感が希薄になっていた。また、アメリカのメーカーの車は、ガソリン消費の多い大型車が多かった。90年代にガソリン価格が安定したために、石油ショック直後のように燃費を向上させる努力も失われたのだ。

これに対して中国市場には、まず欧米メーカーが進出している。彼らの中国進出は日本メーカーより早かったので、先発の利益がある。また、中国のメーカーがある。中国では社会主義経済の時代から国営企業による自動車生産が行われていた。そして、現在、自動車産業は中国政府によって戦略分野と見なされているので、外資が単独で進出はできず、すべて現地企業との合弁形態になる。さらに、中国政府は、最終的には、少数の強い国内企業だけの産業にする計画であると繰り返し表明している。

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