薬が投与されると愛猫はストンと息を引き取った…安楽死は家族みんなで決めた「でも寂しいよ」
しかし昨年10月。まるは突然白目をむき、よだれを垂らし、意識が混濁した。検査の結果、心臓が肥大し弁膜が正常に動いていないことがわかった。
以降、朝晩、抗凝固剤と利尿剤を服用しながら生活していた。その後、大きな発作は起きなかった。
ところが、今年2月、動物病院で精密検査を受けた際、強いストレスで心臓に負担がかかったのか、容体が一気に悪化した。獣医師から「肺の中に水がたまり、地上で溺れている状態です」と言われた。
家に着き、まるをキャリーバッグから出すと、床に倒れ「ハアハア」と苦しそうにあえいだ。もはや手の施しようがなかった。
これ以上、まるを苦しませたくない――。
家族みなで話しあい、安楽死させることに決めた。翌日の夕方、家族全員がそろった時間に行うことにした。
獣医師の管理のもとでの安楽死へ
日本では、犬猫の安楽死は獣医師の管理のもとで行うことが認められている。
明確な基準はないが、重度の末期がんや臓器不全、不治の病など治療の効果が見込めず動物が激しい苦しみを抱えている場合、さらに、自力で飲食や排泄が困難になるなど、QOL(生活の質)が著しく低下した時に選択されることが多い。
女性は、20年ほど前に飼っていた猫が腹膜炎になり苦しんだ時、獣医師から安楽死を教えられ、苦痛から解放する決断をした。
今回も頭の片隅に安楽死のことがあった。治療している時から獣医師に、過去に安楽死の経験があること、「今回も限界になったら安楽死は考えています」と伝えていた。獣医師も、了承してくれていた。