薬が投与されると愛猫はストンと息を引き取った…安楽死は家族みんなで決めた「でも寂しいよ」

日本では、動物に安楽死を施すよりも自然な最期を迎えさせたいと考える傾向も強い。けれど、苦しむ姿に心を痛め、解放してあげたいと考える家族も多い。愛猫の安楽死を決断した女性に話を聞いた。
お別れの時が迫っていた。
「まる、ありがとうね」
「まると過ごした日は楽しかったよ」
まるとの出会いは2022年3月
2月12日、さいたま市に住む女性(51)は、夫と2人の息子と一緒に、かかりつけの動物病院の処置室で、まるに何度も言葉をかけた。
つながれた点滴から鎮痛剤を投与されたまるは、横たわったまま動かなかった。あとは、心臓を止める薬を入れるだけ。
女性が、スコティッシュフォールドのまると出会ったのは2022年3月。それまで猫を2匹飼っていたが、1匹が18歳で老衰で息を引き取った。
残された1匹が寂しがっているのを見て、もう1匹迎えたいと考えていた。
当初は保護猫を飼うつもりだったが、近くにできたペットショップにたまたま行って出会ったのが、まるだった。
生後2カ月の雄。ショーケース越しに女性のほうを見て、ずっと「ニャーニャー」と鳴く姿に一目ぼれした。「まる」という名前は、ショーケースの扉を開けた瞬間、浮かんだという。
ヤンチャで自由奔放、抱っこは嫌い。男の子らしいりりしい顔立ち。見ているだけで家族みなが幸せを感じた。