いろんな観点から経営を学ぶためにSFCを目指すと決めた井口さん。そのために彼が選んだことが「選択と集中」でした。
「受験する大学・学部によって科目が違うし、出題形式も違います。上智は現代文や古文がありますが、慶應はありません。代わりに小論文があります。また、慶應の経済は英語で英作文が出ましたが、SFCでは出ませんでした。偏差値70を超えるような人は満遍なくあれこれ対策しても受かるかもしれませんが、僕みたいな凡人は『選択と集中』が必要だと思ったんです。僕はせっかく浪人するなら第一志望に行きたいと思いました。やらないことを決めて、必要な科目に対して最大限の時間と労力を積み重ねようと決めたのです」
SFCを第一志望に決めた井口さんは、3月の時点で慶應の経済学部と商学部を受けるのを諦めます。そして、全体の勉強時間の半分を小論文と英語の2科目であるSFCの対策に費やそうと決め、余った時間で他大学の対策として古文・世界史を勉強しようと思いました。
アルバイトで予備校の講座費用を稼ぐ
井口さんが通っていた代々木ゼミナールは、月に1回、別料金でSFC対策の講座が開講されていました。当時はSFC対策をする予備校がほぼなかったこともあり、仙台など、全国からSFC志望の受験生が受講しに来ていたそうです。井口さんはその講座を受講したいと思っていましたが、母親には「絶対に受からないんだから(受講を)やめなさい」と言われ、お金を払ってくれなかったと語ります。
そこで井口さんは、居酒屋のキッチンでアルバイトをしてお金を稼ぎ、そのお金でSFC対策の講座を受講することにしました。
「4月から9月くらいまで、週2~3回くらいのアルバイトを1日6時間程度していました。受験生におすすめはしませんが、ある意味、それがメリハリになって、『アルバイトの時間以外は全部勉強しよう』と思えたのがよかったと思います。講座を受けるようになってからは、同じ大学を目指す仲間の存在が励みになりました。今まで身近に同じ大学・学部を目指す仲間がいませんでしたが、そこで何人か仲良くなった友達ができて、お互いの小論文を見たり、小論文をコピーさせてもらって研究し合ったり、励まし合ったりしていました。彼らとは、勉強面でも精神面でも結束できて、一緒に合格したいって思いが強くなりました」
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