「双子の兄は現役で進学…自分は全落ち」母から比較され罵倒も「やらないことを決める」超戦略的な受験で慶應に合格した"凡人"の弟

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「もともと僕の祖父が慶應出身だったこともあってか、小さい頃から祖母に『慶應に行きなさい』と言われていました。そのため、慶應がどんな大学かを調べることはありませんでしたが、慶應に対する憧れは昔からありました」

夏以降は勉強時間をそれなりにとって、がむしゃらに受験勉強をした井口さん。直前期には10時間を超える勉強をしていたそうですが、慶應の模試判定はEばかりでした。それでも、現役のときは慶應の経済学部と商学部、環境情報学部、総合政策学部、滑り止めで上智大学の経営学部の5つを受験します。

「英語はちょこちょこ上がっていましたが、偏差値は60あるかないかでした。過去問も全然解けなくて、環境情報学部、総合政策学部で5割、上智も5割程度でした。それでも、何個か受験したらどこかは受かるかなと何となく考えていました」

しかし、模試の結果や過去問の出来が示していたように、慶應も上智も箸にも棒にもかからずに全滅で終わります。

お兄さんは現役で東京理科大に合格

全落ちで浪人が決まった井口さん。

浪人を決めた理由をお聞きすると、「大学には行きたいという思いがあったから」と語ってくれました。

しかし、兄は現役で東京理科大学に合格していたこともあり、浪人が決まってからは母親に罵倒をされていたそうです。

「『兄は現役で合格したのに、なんであなたは進学校なのに落ちたんだ』という罵倒をとにかくされていました。だから、何としても結果を出して母親を見返したいと思いました」

なんとか代々木ゼミナールの本科コースで浪人をさせてもらうことが決まりましたが、浪人をするにあたって、「このまま同じように勉強をしていても慶應に受かる気がしない」と思ったと言います。

そこで井口さんは、自分が一番学びたい学問を考えたところ、総合政策学部・環境情報学部の湘南藤沢キャンパス(SFC)にある2学部だと考えました。SFCを目指そうと思った大きなきっかけは、3月に読んだ『金持ち父さん 貧乏父さん』という書籍であるそうです。

「優秀なエリート公務員の父さんと起業家の父さんの話でした。前者は誰もが羨む経歴ですが、そんなに稼げておらず、いつも忙しそうでした。一方で、起業家は学歴がなくても、事業だけではなく、その後投資家としても成功していました。『金持ち父さん』である起業家は、経済的自由を達成しているうえに時間に余裕があったのです。僕はどっちの生き方をしたいかと考えたときに、金持ち父さん側が良くて、そのためにはビジネスオーナー側や投資家側の生き方をする必要がありました。じゃあ、そうなるためには何を経験すればいいかを考えたとき、コンサルティングの技法や企業経営、ベンチャー企業論といった経営をテーマとした多様な授業を用意しているSFCがいいと思ったのです」

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