一見なんの変哲もないおむすびに見えるが…「お米一粒一粒が立ってる!」「冷めてもうまい!」手作りを守り抜いた広島のソウルフードが凄すぎた

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「一度甲子園で、うちとまったく同じ若鶏むすびという商品が、当時の監督の名前で出されたことがありました」と浮田さんは苦笑い。模倣されるほどの人気ぶりを物語るエピソードだ。

「他球団の選手からもわざわざご連絡いただいたり、先輩方が『おいしいから食べてみよう』ということで買ってくれる方もいらっしゃいました」という。選手同士の口コミで広がっていったというのも、そのおいしさの証明だろう。

マツダスタジアム店は試合前に長蛇の列となる(筆者撮影)

近年増加している外国人観光客にも、むすびのむさしは人気だ。「昔はアジア圏が多かったですが、今は欧米の方がかなり増えています。平和記念公園や原爆ドームの影響もあって、オバマさんが来日された頃からかなり増えてきました」

興味深いのは、箸を使って食べる文化体験としても楽しまれていることだ。「なかなか箸を使って食べる文化が向こうにはないので、日本に来たからチャレンジしてみたいということで来られる方もいらっしゃいますし、昔に比べ箸の使い方がとても上手な方も増えてきているように思います」

また、日本にしかない食材への驚きもあるという。「煮物などの食材を食べられて、日本食は素晴らしいというお声をいただきました」(浮田さん)

地域密着の経営哲学。「広島に来てもらえる店作り」

全国チェーン展開の話もあったというが、むすびのむさしは広島での地域密着を貫いている。その理由について浮田さんはこう語る。

「先代から『わざわざ広島に来てもらえる店にしなさい』と言われています。店舗数も広島市内15店舗ありますが、それでも目が届かない部分があります。県外に出ていって、その味や接客、お客様への対応がおろそかになってはいけない。おいしいものを広島に食べに来てもらうという意味合いもあります」

広島にしかないからこそ価値がある。そんな経営哲学が、結果的に観光客や出張者を惹きつけ、地域貢献にもつながっているのだ。

JR西広島駅や横川駅にも店舗がある(筆者撮影)

昨今の米価高騰や原材料費上昇の影響について聞くと、「影響がないといったら嘘になります」と正直に答えてくれた。「ずっとお付き合いしている企業さんには協力していただいて確保はしていますが、全般的に足りているかというと足りていないので、他社さんにも協力をお願いしている状況です」

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