続いて鶏の唐揚げに箸を伸ばす。衣はカリカリに揚がっており、中は歯ごたえのある肉質で食べ応え十分。ジューシーさと程よい塩味で、むすびとの相性も抜群だ。

ウィンナーは昭和を思わせる懐かしい味わい。最近のコンビニ弁当にはあまり見かけなくなった、素朴なおいしさがある。枝豆は王道の味で、彩りも美しい。
ここで注目したいのが、小袋に入った塩だ。一見地味な存在だが、これが意外な名脇役なのである。キャベツにふりかけると、野菜本来の甘みが引き立つ。唐揚げにかけると、また違った味わいが楽しめる。この塩一つで、お弁当全体の楽しみ方が一気に広がるのだ。

全体として印象的なのは、派手さはないが飽きのこない、日常的に食べたくなる味わいだということ。トレンドを追いかけるのではなく、時代を超えて愛される、変わらないおいしさがここにある。

食べ終わった後、「また今度食べたい」と思わせる。これこそが、広島県民が67年間愛し続ける理由なのだろう。コンビニ弁当では決して味わえない、人の手の温かさと職人の技術が詰まった一品。それが「若鶏むすび」の魅力だ。
この味わいの秘密を探るべく、「むすびのむさし」を運営する株式会社むさしの浮田秀律さんに話を聞いた。
1日最大7000食!一貫した手作りへのこだわり
まず驚かされるのは、その売り上げ規模だ。「毎日5000食から7000食は売れています。カープ戦がある日や花見シーズン、ゴールデンウィークなどは、ありがたいことに7000食を超える日もあります」という。

「お昼のピークは11時から13時頃まで続きます。またカープやサンフレッチェの試合がある日は、夕方や午前中でもかなり混み合います」と浮田さん。狙い目は13時から15時頃、または試合がない日の午前中や夕方だという。
そんな大量の注文に対応しながらも、むすびのむさしが一貫してこだわり続けているのが手作りだ。
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