一見なんの変哲もないおむすびに見えるが…「お米一粒一粒が立ってる!」「冷めてもうまい!」手作りを守り抜いた広島のソウルフードが凄すぎた

✎ 1〜 ✎ 14 ✎ 15 ✎ 16 ✎ 17
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

続いて鶏の唐揚げに箸を伸ばす。衣はカリカリに揚がっており、中は歯ごたえのある肉質で食べ応え十分。ジューシーさと程よい塩味で、むすびとの相性も抜群だ。

ボリューミーな鶏の唐揚げ。3つあれば大満足だ(筆者撮影)

ウィンナーは昭和を思わせる懐かしい味わい。最近のコンビニ弁当にはあまり見かけなくなった、素朴なおいしさがある。枝豆は王道の味で、彩りも美しい。

ここで注目したいのが、小袋に入った塩だ。一見地味な存在だが、これが意外な名脇役なのである。キャベツにふりかけると、野菜本来の甘みが引き立つ。唐揚げにかけると、また違った味わいが楽しめる。この塩一つで、お弁当全体の楽しみ方が一気に広がるのだ。

名脇役の塩(筆者撮影)

全体として印象的なのは、派手さはないが飽きのこない、日常的に食べたくなる味わいだということ。トレンドを追いかけるのではなく、時代を超えて愛される、変わらないおいしさがここにある。

笹の葉を描いた袋が「むすびのむさし」の証(筆者撮影)

食べ終わった後、「また今度食べたい」と思わせる。これこそが、広島県民が67年間愛し続ける理由なのだろう。コンビニ弁当では決して味わえない、人の手の温かさと職人の技術が詰まった一品。それが「若鶏むすび」の魅力だ。

この味わいの秘密を探るべく、「むすびのむさし」を運営する株式会社むさしの浮田秀律さんに話を聞いた。

1日最大7000食!一貫した手作りへのこだわり

まず驚かされるのは、その売り上げ規模だ。「毎日5000食から7000食は売れています。カープ戦がある日や花見シーズン、ゴールデンウィークなどは、ありがたいことに7000食を超える日もあります」という。

地元のスポーツチームを応援する姿勢が見て取れる(むすびのむさし提供)

「お昼のピークは11時から13時頃まで続きます。またカープやサンフレッチェの試合がある日は、夕方や午前中でもかなり混み合います」と浮田さん。狙い目は13時から15時頃、または試合がない日の午前中や夕方だという。

そんな大量の注文に対応しながらも、むすびのむさしが一貫してこだわり続けているのが手作りだ。

次ページ半年から2年の修業期間。プロ級「むすび人」の世界
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事