
大阪市天王寺区にある喫茶・レストラン「トロイカ&リビエラ」の店主、久米一弥さん(65歳)。10年ほど前からパンの製造・調理・接客・配達すべてを1人でこなしている(筆者撮影)
昭和の時代に数多く生まれた個人経営の喫茶店も、時代の流れとともに減りつつあります。
けれど――喫茶店に漂う独特の心地よい空気感は、そこで過ごした人々の記憶の中に今も静かに残り続けます。誰にとっても、心に残る思い出の喫茶店があるのではないでしょうか。
そんな喫茶店を愛する一人のライター・コトリスが、一杯のコーヒーをきっかけにマスターの人生や常連客の思い出など、店の背景にある物語をたどっていく本連載。街の喫茶店に息づく「人と店の物語」を記録していきます。
第4回は大阪市天王寺区にある喫茶・レストラン「トロイカ&リビエラ」を訪ねました。(全5回)
パン屋と喫茶店をワンオペで切り盛りする店主
「普通の飲食店とは違う、物語のある店をやりたい」
そう語るのは、大阪市天王寺区にある喫茶・レストラン「トロイカ&リビエラ」の店主、久米一弥さん(65歳)だ。久米さんにとって人生の道しるべとなったのは、いつも“人”との出会いだった。
店はJR・大阪メトロ玉造(たまつくり)駅前、玉造日之出通商店街の一角にある。店頭に自家製パンが並び、奥にはゆったりとした喫茶コーナーが併設されている。
かつては従業員を大勢抱えていたが、10年ほど前からパンの製造・調理・接客・配達すべてを久米さん1人でこなしている。水はセルフサービス。注文・会計は厨房の久米さんに自己申告するシステムで店は成り立っている。
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