昭和・平成の「仕方なくうさぎ小屋」から令和は「あえてうさぎ小屋」へ? 《小規模建売住宅の希望と闇》合理的な選択だが注意点も
住宅の質の向上がそれを後押ししてもいる。特に2025年4月からは新築住宅は省エネルギー基準への適合が義務化され、断熱等級4以上が最低基準になった。
小規模でもかつてよりずっと質の高い、居住性の高い住宅になっているのだ。住宅設備も小型化、高性能化しており、狭くても住みやすい家は可能になった。
購入には注意が必要な場合も
このように考えると、あえて利便性の高い立地の良い小規模建売一戸建てを買うのは合理的とも思われるのだが、いくつか注意すべき点もある。
ひとつは窓や玄関に窓がない暗い家が増えているという点。
省エネ建築に詳しく、全国の設計事務所、工務店等との付き合いのある株式会社松尾設計室の松尾和也さんは土地価格に加え、2022年から電気代が高騰、同時に断熱性能の高い家を作らざるを得ないという状況下で玄関、廊下などに窓がない、暗い家が増えていると指摘する。
「熱は窓から逃げていくもの。そこで窓を減らすことで安価に断熱性能の高い、光熱費が削減できる家が作れると姑息なことを考える工務店が少なくありません。
玄関に人感センサーを設置、LEDで明るくできるから窓はなくてもいいという人もいますが、陽光は健康に暮らすために必要。狭くても健康的に暮らせる快適な家は設計できるのに、それをせずに楽なやり方に走っているのです」(松尾さん)
よくマンションの中住戸(両側に他住戸がある住戸)は暗いと言われるが、それより暗い一戸建てすらあるとのこと。間取り図からチェックできるので物件探しでは意識したい。

規模、階数によるが、資産価値も住み心地も期待できない物件があると藤井さん。
「3階建ては階段が多く、若いうちはいいものの、高齢になると住みにくい。特にトイレが1カ所しかないのは面倒。かつては相続のために1区画を分割、一部を売却して相続税を払ったものですが、今後、そこを再分割することは難しく、資産価値として疑問があります。これから人口が減少、土地が余る時代に今のやり方が続くのか、そこも分かりません」(藤井さん)
狭すぎる敷地に建物が密集、日照や通風が悪化、防災面の危険を生じさせないため、各自治体は最低敷地面積をそれぞれに定めている。用途地域、建蔽(けんぺい)率その他で数字は異なるが、時々、実際の物件とその自治体が定めている数字が合致していない場合がある。
たとえば東京都世田谷区で最低敷地面積が60平方メートルと定められている地域で30平方メートルの土地といった例だ。
これは最低敷地面積が設定される前にすでに分筆されていた土地であることが多く、その面積に建物を建てる分には問題はない。だが、最低敷地面積以下の土地の場合、次に相続税を払うためなどに分割することはできない。
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