「食べてくれない」が最大の壁? いい成分だけでは売れない"猫用サプリ"開発の舞台裏

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そして2017年、ついに猫用の商品を発売する。

「ペットの登録件数で犬と猫の飼育数が逆転し、猫が上回った時期に重なります。それまで商品として犬用、あるいは犬猫兼用を販売していましたが、猫のお客様は兼用を嫌がる傾向にありました。『DHCさんはなぜ、犬用だけなの?』という声が現場から上がってきました」(渡邉氏)

また開発を担当するサプリメントユニット 開発・研究グループ製品開発チーム主任・久津美志保氏によると、犬と猫では生態学的に異なり、用途によっては分けて考える必要があるようだ。

「腸内環境も異なりますし、尿結石ができるのも、犬の場合はアルカリ性、猫は酸性に傾くことが原因の場合が多いです。目の病気も、犬は白内障、猫は結膜炎が多いので、アイケアの仕方も異なります」(久津美氏)

DHCの渡邉義晃氏と久津美志保氏(筆者撮影)

原料や商品管理は基本的に人用と同じ

基本的に原料については人用と同じものが使用され、同様に厳しい商品管理のもと、製造販売されている。

開発において重要な過程が、嗜好性の確認だ。社員の飼い犬や飼い猫をモニターに、嗜好性、つまり食いつきの良し悪しを確認。犬の場合は9割、猫は7割が食べたもののみ商品化される。

「猫の嗜好性の強さには本当に泣かされています。どんなにいい成分を配合していても、食べないものは売れません。嗜好性確認をクリアできなければ製造段階に進めません」(久津美氏)

猫に食べてもらう工夫としては、機能性成分の苦味をマスキングする、猫が美味しさを感じられるよう、塩分を低くした鰹節を混ぜたりするなどがある。

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