「食べてくれない」が最大の壁? いい成分だけでは売れない"猫用サプリ"開発の舞台裏

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同社のペット用商品の平均単価は約1200円。人用のみならずペット用も、毎日続けやすい価格設定を基本方針としている。

なぜ人用の化粧品やサプリメントの企業が、2007年という早い時期にペット事業を始めたのか。

「欧米の例を見ても、ペットが家族化していくだろうと予想されました。化粧品・健康食品に次ぐ新しい商品として市場性を見出したのです」(渡邉氏)

1972年創業で、1980年に化粧品、1995年にサプリメントの製造販売を始めた同社。2006年にアパレルの製造販売も開始しており、新規事業を展開していく時期だったと推測できる。

ただ、当時はまだペット用サプリは時代に先行しすぎていた。最初に投入したのは関節、腸の健康、ブルーベリーやDHAといった犬用の商品。通販で売り出したが「店でも扱って欲しい」という客の要望を受け、販売チャネルを開拓した。当時、営業を担当していた渡邉氏は非常に苦労したという。ドラッグストアへの売り込みでも「日本では無理」とはっきり言われた。

ホームセンター販路で認知度を高める

潮目が変わったのがホームセンターでの販売開始後だ。ペット用サプリのスペースがなかったため、11種類ほどあった商品を並べられる専用の什器を作って置いてもらった。そこから徐々に客に手に取ってもらえるようになった。

「あのDHCがペット用も販売していると。人間用も愛用しているので、ペットにも使ってみようかな、という感覚で買ってもらえました」(渡邉氏)

店頭販売を始めてから売上高は約1.7倍に伸びる。しかしサプリによって普段からケアするという文化が根付いていなかったため、市場の拡大には時間がかかった。新商品を発売しては、徐々に売り上げを底上げしてきたそうだ。なお現在の売り上げは、店頭販売開始直後の2011年に比較し、約15倍となっている。

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