店舗数は2倍、売上高は4倍…いつの間に「丸亀製麺1強独走」になったのか? 丸亀・はなまる 「セルフうどん」2強の競争の歴史

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ここで、2014年夏のフェアメニュ-(期間限定商品)として開発されたのが「肉盛りうどん」だ。従来の肉うどんと比べて2倍もの肉量がある「肉盛り」は原価も高く、売価も590円に抑えるのがせいいっぱい。社内でも「本当に売れるのか?」と懐疑的な目で見られていたが、丸亀製麺はここで、シンプルに「売る」だけでない、2つの施策を打つ。

まずは、「肉盛り」の肉をうどんのゆで釜の横で煮て、いい香りを店内に漂わせたうえで、ダシに沈まないように別皿で出すこと。さらに、同社としては初となるテレビCMを投下、タレント・武井壮さんを起用し、かなり大規模な露出を行った。

これまでにない高単価商品「肉盛りうどん」を、最も売り上げが見込める夏のフェアに持ってくるということは、失敗すれば当然のように決算に響く。会社としては「フェアメニューでの客数・実販獲得」「高単価シフト」「広告戦略」という課題を1本にまとめて、同じタイミングで「えい、やっ!」と一大展開を行うようなもので、いま冷静に見ると、これで負けると目も当てられない……。

結果、丸亀製麺は勝った。「肉盛りうどん」は空前の大ヒット商品に成長し、販売中の店舗売り上げは前年度比で売り上げ115%を記録。通常より高単価なフェアメニューがしっかり売れるようになったことで、丸亀製麺は数十カ月にわたって、前年度比売り上げ100%を上回り続けたという。

「肉盛りうどん」をきっかけに、丸亀製麺は「セルフうどん」店舗の本来の役割である「お手頃なうどん(かけうどん+α)を食べに行く場所」から脱却して、「美味しいフードがある『丸亀製麺』という場所に行く」ように、顧客の行動様式を変化させることができたのだ。

一方で、「はなまるうどん」はセルフうどんのコスパ・選ぶ楽しみを重視していることもあり、新商品でなかなかヒットが出ず、高単価・高利益商品への誘導もうまくいっていない印象だ。

丸亀製麺、セルフうどん動線の改善で「売り上げ2倍」を獲得できたワケ

丸亀製麺羽田空港店
丸亀製麺羽田空港店(筆者撮影)

もうひとつ、小野氏の著書では「セルフうどん」の効率化について触れられている。ただでさえ流れ作業で効率が良い「セルフうどん」形態の効率を改善することで、丸亀製麺で最も売れている「羽田空港店」の売り上げは、2倍にも上がったという。

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