店舗数は2倍、売上高は4倍…いつの間に「丸亀製麺1強独走」になったのか? 丸亀・はなまる 「セルフうどん」2強の競争の歴史

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「丸亀製麺」「はなまるうどん」両ブランドが誕生して四半世紀が経ち、ブランドのイメージを決定づけるCM・SNSでも、店のコンセプトによる両者の戦略・個性の違いはあらわになっている。

丸亀製麺は「ここのうどんは、生きている。」をキャッチフレーズに、SNSで細かく「打ちたて・ゆでたて・切りたて」「店内製麺」をしきりにアピール。テレビCMでも釜から上がる湯気や、ゆでたて麺の輝きをしっかり入れている。顧客の来店・食事を「体験価値」と位置付けてバリューを上げる戦略であり、「“モノ”(うどん)から“コト”(製麺所体験)」という、今どきの消費行動の変化をつかみ取ったものと言えるだろう。

一方で「はなまるうどん」は、一大讃岐うどんブームで広まった「セルフうどん」だけでなく、讃岐うどんそのものの文化を広めるべく「おいでまい!さぬき」(おいでまい=讃岐弁で「いらっしゃい」)プロジェクトを開始。「すべては、讃岐うどんとともに。」というキャッチフレーズのもと、本社を高松市に再移転したうえで、香川県内の店舗の改装を進めている。こちらは、丸亀製麺と差別化するための「讃岐うどんの本場・香川県発祥」であることを、全面に打ち出しているようだ。

2者の違いは「体験価値」「文化の継承」。この戦略は、会社の将来・経営環境にどう影響を及ぼしたのか?

丸亀製麺の「店内製造」が生み出す「高単価・高利益」

おなじ「セルフうどん」方式の店なのに、丸亀製麺は対:はなまるうどんで「店舗数が倍、売り上げ4倍、利益10倍」。1店当たりで見ても、「売り上げ2倍、利益も差がつく」状況ということになる。

しっかりと稼げる丸亀製麺の“商売力”は、「16.3%」(2025年3月期決算)という、極めて高い利益率からもうかがえる。実は、丸亀製麺は高単価・高利益商品の売れ行きが、きわめて好調だ。

かつて低単価・低利益に苦しんでいた丸亀製麺を変えた、2014年夏のある出来事について、丸亀製麺の運営会社である「トリドールホールディングス」経営企画本部 社長秘書・IR担当(肩書は2018年の発売当時)の小野正誉(おのまさとも)氏の著書『丸亀製麺はなぜNo.1になれたのか?』から、読み解いてみよう。

丸亀製麺の釜揚げうどん
丸亀製麺の釜揚げうどん(筆者撮影)

丸亀製麺もかつては、うどん+天ぷらといった注文が多く、客単価は「はなまるうどん」と同じく、500円少々にとどまっていた。季節ごとのフェアメニューも400円程度のものが多く、常連客が「きょうは期間限定のヤツ、頼もう!」となったところで、売り上げ・利益が大きく上がることはない状況であった。

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