独居老人が団地で閉じ込められ事件簿、住民が一致団結で救出大作戦!「どの部屋にどんな人が住んでいる?」知っていたから命が救われた
時刻は午後5時。母にとって幸いだったのは手元に携帯電話を持っていたことです。すぐさま向かいの棟に住む私に電話を掛けましたが、あいにく私は電車で1時間かかる場所まで足を延ばしていて留守でした。留守電メッセージを残して、次は弟に電話です。ところがこの日、弟は臨時の夜勤。会社の詰め所を離れることなどできません。そこで弟が自宅に電話すると、弟の妻は在宅中だと分かりました。「いったん見てきてほしい」という弟の頼みを聞いて、フットワークの軽い弟の妻が真っ先に母の家へ向かうことになったのです。
午後6時ごろ、娘も参戦。「高齢の母の命が危ない!」
母、弟、弟の妻からの留守電メッセージに気づいた私が団地に戻ったのは午後6時過ぎ。室内に入ると、廊下には曲がりくねった針金ハンガーが散乱していました。「むむむ、何やら戦いが行われた跡らしい……」。
連絡を受けてすぐ、母と弟の妻に、「とりあえず帰るから24時間駆けつけサービス(仮称)に電話しておいて!」と伝えたのですが、ここで初めて、その言葉はブラックホールに飲み込まれてしまったようだ、と理解しました。
24時間駆けつけサービス(仮称)とは、私たちの団地が管理会社と契約している専有部分(部屋)向けサービスのこと。電話一本、ワンストップで専有部分のお困りごとに応じてくれますし、24時間年中無休・初回訪問無料(団地の管理組合・会計から毎月約2万円強を支払っています)で対応してくれるのもありがたい。しかし、こうしたサブスク的な取り組みは高齢者から警戒されているようで、導入後数年たっても「初めて使う」という住人がまだまだたくさんいます。
とりあえず私が24時間駆けつけサービス(仮称)に電話をすると、いつもどおりオペレーターにつながり、対応できる業者を探してくれることになりました。折り返し先を弟の妻に指定して、私は頼りになる助っ人を呼んでくることに。母と弟の妻は戦力外と判明、私のポンコツは折り紙付き。誰かポンコツじゃない人がどうしても必要でした。「母がトイレに行きたがったらどうしよう……ショック症状が出て倒れでもしたら……命が危ない><」。