【朝ドラ】やなせたかし、意を決して応募した漫画がグランプリ受賞も妻「うれしくない」ワケ

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それでも「なんとしてでもグランプリを獲りたい」と、やなせはアイデアを考えて、パントマイムの漫画でいくことにした。逆光に立ち、帽子を目深にかぶって顔が見えない「ミスター・ボオ」という人物を主人公にして、24本の原稿を書き上げている。

見事にグランプリをとって友人を感激させる

その結果、やなせは見事にグランプリを受賞。応募したこと自体、妻にも内緒にしていたが、ようやくこう打ち明けた。

「どうも『週刊朝日』の懸賞漫画に一等で入選したらしいが、噓かもしれないから、喜んじゃいけない」

なんともやなせらしい慎重さだ。そんな心配は杞憂に終わり、100万円の懸賞金をもらってやなせは帰宅。妻からこう言われたというのが、なんとも可笑しい。

「あんたが喜ぶなというもんだから、喜ばないように我慢しているうちにあんまりうれしくなくなった。でもおめでとう」

一方、いずみたくは受賞したという結果はもちろんのこと、挑戦するやなせの姿勢に心を打たれたようだ。こんなことを言ったという。

「やなせさんは立派なプロの漫画家なのに、投書漫画に応募する勇気がある。ぼくは感動してしまった」

結果につながったときに、わがごとのように喜んでくれる存在は貴重だ。周囲の声に後押しされながら、やなせは漫画を描き続けた。

(つづく)

【参考文献】
やなせたかし『人生なんて夢だけど』(フレーベル館)
やなせたかし『ボクと、正義と、アンパンマン なんのために生まれて、なにをして生きるのか』(PHP研究所)
やなせたかし『何のために生まれてきたの?』(PHP研究所)
やなせたかし『アンパンマンの遺書』 (岩波現代文庫)
梯久美子『やなせたかしの生涯 アンパンマンとぼく』 (文春文庫)
真山知幸『天才を育てた親はどんな言葉をかけていたのか?』(サンマーク出版)

真山 知幸 著述家

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まやま ともゆき / Tomoyuki Mayama

1979年、兵庫県生まれ。2002年、同志社大学法学部法律学科卒業。上京後、業界誌出版社の編集長を経て、2020年独立。偉人や歴史、名言などをテーマに執筆活動を行う。『ざんねんな偉人伝』シリーズ、『偉人名言迷言事典』など著作40冊以上。名古屋外国語大学現代国際学特殊講義(現・グローバルキャリア講義)、宮崎大学公開講座などでの講師活動やメディア出演も行う。最新刊は『大器晩成列伝 遅咲きの人生には共通点があった!』( ディスカヴァー・トゥエンティワン ) 、『ひょんな偉人ランキング ―たまげた日本史』(さくら舎)。「東洋経済オンラインアワード」で、2021年にニューウェーブ賞、2024年にロングランヒット賞受賞。
X: https://twitter.com/mayama3
公式ブログ: https://note.com/mayama3/

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