これはとりわけ魅力的だ。なぜなら、これらの「ボディーガード」は、自分の軍にクーデター防止策を施したときに独裁体制が失う戦場での能力の少なくとも一部を、埋め合わせてくれるからだ。
トゥアデラ大統領のある特別顧問は、ウラジーミル・プーチン政権に対するワグネルの叛乱をどう見るか尋ねられると、次のように答えた。
「ロシアは我々にワグネルを提供してくれた。それ以外は、我々の関与するところではない……もしワグネルがもう駄目になって、ロシアがベートーベンかモーツァルトを派遣してきたとしても、かまいはしない。我々は受け容れるだろう」〔訳注 「ワグネル」は作曲家の「ワーグナー」と綴りが同じであることにかけた言葉遊び〕
外国の戦闘員に頼ることのリスク
だが、政権はワグネル(あるいは他の「作曲家」)をしきりに頼りにしているとはいえ、その代償を払わざるをえない。トゥアデラは採掘権を失いつつあるだけではなく、自律性も手放している。
外国の戦闘員は、政権の治安機関に根づくにつれ、中央アフリカ共和国の経済と政治での影響力も増している。
同国におけるワグネルの支配力の増大は目覚ましいので、それを「国家収奪」と呼びはじめたアナリストもいる。
そしてけっきょくは、これらの戦闘員は守っている政権ではなくモスクワの政権に対して忠実なのだから(仮に、忠実な相手がいれば、だが)、直接的なクーデターのリスクはないとはいえ、必ずしも信頼できるわけではない。
もしロシア政府が、トゥアデラよりも有利な条件を提供する指導者を見つけたら、トゥアデラは権力の座に長くはとどまれないだろう。
このような理由から、多くの独裁者は、自分に特別の忠誠心を持っていると見なす戦闘員を好む。
だが、すでに見たように、あらゆる独裁者はジレンマに直面する。周囲の誰が本当に忠実で、誰が忠実なふりをしているだけなのかは、わからないのだ。
このような構造的制約があるため、臣民の忠誠心に頼るのはいつもギャンブルとなる。
(翻訳:柴田裕之)
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら


















無料会員登録はこちら
ログインはこちら