エリートたちが独裁者と比べてそれなりに強力なときには、体制の中で自分の権力を維持しつつ指導者の交代を望むことができる。
だが、独裁者の力が強まると、エリートはもう体制の現状を保ったまま指導者を入れ替える機会がなくなる。
だから代わりに、体制全体の解体を目指さざるをえない。だが、いずれかの時点で独裁者が権力基盤をさらに固めると、体制の解体さえ不可能になりうる。そしてそのときには、エリートたちに残された手段は暗殺以外にない。
大統領官邸から見た場合、問題は、暗殺はたった1人で実行可能な点にある。そしてあいにく、適切なタイミングで適切な場所に身を置くことができそうな人は大勢いる。
暗殺者となりうる人は、ライフル銃あるいは刃物を手にできる人の数だけいる。だから暗殺は、どの独裁者にとっても常時至る所で存在する脅威となる。
これはなんとも不幸な境遇だ。それでも、独裁者にはいくつか選択肢がある。
民主化(あるいは、他の脅威に対する守りを弱めること)は、ほとんどの独裁者にとっては魅力的ではないので、彼らは他の解決策を見つけなければならない。
ボディーガードに警護させる
そこで選ばれるありふれた戦略の1つが、ボディーガードに警護させることだ。
そのようなボディーガードは、民主主義体制のボディーガードとほぼ同じ機能を果たす。周辺をくまなく見て回り、暗殺者が隠れていないことを確かめ、攻撃されたときに備えて脱出路を考え、必要とあれば、大統領の身代わりになって銃弾を受け止める。
だが、独裁者の場合には普通の大統領ではなく終身大統領なので、ボディーガードたちには通常以上の資格が求められる。
よく使われる方法は、一般大衆に対してだけではなく政権内部からの攻撃に対しても独裁者を守ることのできる、精鋭戦闘員を集めて部隊を編成することだ。
だが、このアプローチには問題がある。それらの精鋭戦闘員たち自身が、たとえば独裁者に対するクーデターを支持することで、あっさり政治的行動主体になりうるのだ。


















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