「日本で唯一のヘビ専門研究所」「大蛇や毒ヘビが…」群馬《スネークセンター》で見た"驚く光景"ーー過去には“毒ヘビの血清”も作られた

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「マムシの毒はきついですよ。毎年数人亡くなっていますし、重症例はかなりあると思われます」

マムシ咬傷は年間約3000件。死亡例は5名ほどで、70代以上の高齢者という。毒蛇110番への連絡も、マムシの咬傷事故が圧倒的に多い。

マムシはこちらが手を出さなくても咬んでくる。春と秋には主に昼間に活動するが、気温が高い時期は日中を避けて夕方から夜にかけても活動する。そのため、夏は暗い時間帯の被害が増える。

カエルやネズミ、鳥などを食べるため、河川付近や農村地域、林などと広く分布する。「郊外に行けば、マムシはもう当たり前のようにいます。家の庭や道、河原など、どこにでも出ると思っていい」と堺さんは語る。

マムシの意外すぎる「咬傷シチュエーション」

「日中は暑いため出てこなくても、夜になると川に水を飲みに来ることもあります。河原でバーベキューをしているときや、花火大会で咬まれたという事故もありました。マムシの場合は足元を咬まれることが多く、靴を履いていれば牙が刺さって毒が入ることはほとんどありません。でもサンダルの場合は咬まれると毒が入りやすく、本当に気をつけてほしいです」

夜の駐車場や草むら、農作業中に手を伸ばして咬まれることもある。痛みはチクっとする程度で虫刺されと間違えることもあり、受診をしてマムシ咬傷と判明する場合も珍しくない。

「マムシは落ち葉の上にいるとわかりにくく、タケノコ掘りで膝をついた瞬間に咬まれた小学生もいました。極端な例ですが、屋根からマムシが落ちてきて振り返った際に舌を噛まれたという事例が医学雑誌に報告されています。昔、マムシ酒を作るためにペットボトルに入れてあったマムシに気づかず、そのペットボトルに口をつけて舌を咬まれた事故もあります」

マムシに咬まれた際に使用する抗毒素血清は「承認薬」で、毎年3000本ほど製造され、病院や保健所などに置かれている。

ただ、近所の病院に血清があるとは限らず、医師も毒ヘビ咬傷を知らないと対応が遅れてしまう。ときには「ヤマカガシに咬まれた」と受診する人がいて、実際にはマムシ咬傷だった例もあるなど、毒ヘビ咬傷は複雑なのだ。

「咬んだヘビの判別は難しいです。今の時期は、腫れてきたらマムシを疑っています。素早く判断して早めに抗毒素を使わないと、高齢者は重症化しますし後遺症も心配です」

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