「日本で唯一のヘビ専門研究所」「大蛇や毒ヘビが…」群馬《スネークセンター》で見た"驚く光景"ーー過去には“毒ヘビの血清”も作られた
その血清が底をつくころ、厚生省の研究班が発足し血清の開発が再び始まった。2000年、ハブやマムシの血清製造のノウハウを生かし、ウマを免疫して約1000本の血清が作られた。
実は、ヤマカガシの血清はマムシの血清とは違い、「未承認薬」である。なぜなら、ヤマカガシ咬傷の発生件数が少なく、承認を得るための臨床試験を行うことが難しいからだ。
使用においては「治験的使用(臨床研究扱い)」に限られ、研究班や保管機関から直接搬送されることになっている。
重症例があった際、病院から研究班に連絡が入る。毒ヘビの咬傷事故に慣れている医師はそう多くはなく、初めて対応する医師もいる。当直の医師や研修医の場合は経験がなく判断が難しい。状況や症状から、堺さんらがヘビの種類を判断する。

もしヤマカガシに咬まれたら…
そもそもヘビが咬んだのか、そして咬んだのはヤマカガシなのかマムシなのか。
時間をあけて血液検査をし、血液凝固に関わるフィブリノゲンが減少している場合、ヤマカガシの毒だとわかる。
研究班の救急ドクターと担当医師が血清の使用を検討し、緊急で血清を手配。家族の同意を得て投与をするという流れだ。
現在保管されているヤマカガシの血清は、2000年製造のもの。四半世紀が経ち、作り直しを考える時期になった。
血清の製造には「ヘビ毒」が必要で、ヤマカガシを集めなければならない。しかし近年、ヤマカガシの数が減少している。田んぼの用水路がコンクリートに変わり、主食であるカエルが繁殖できなくなっているのが一因だ。
「前回は業者に依頼して1年間で600匹集めてもらいましたが、今回は数年かかっています。ヘビの中ではおそらくヤマカガシが一番減ったかもしれません。ただ、数は減っていますが、咬まれて重症化する例はどうしてもあるため、抗毒素血清の製造は必要なのです」

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