それから当社は、とある球場で15ほど売店を構えているのですが、それぞれコンセプトや商材を微妙に変えて運営するよう求められます。コントラクト事業は、スポーツ観戦やフェスなど、ハレの日を飾る出店のようなものです。ファンビジネスとしての側面もあるなか、そこでチェーン店のような均一感が透けてしまうと、日常感が出て来場者の気分が盛り下がってしまう。
そのため各店舗で、オリジナリティーを醸し出す必要がある。現在120近いブランドを抱えていますが、各ブランド原則2〜3店舗の展開にとどめています。夏期にシャーベットを提供する際は、店舗ごとで具材の配合を0.1g単位で調整したり、地産の食材を優先的に使用したりしています」(谷酒氏)
いわばコントラクト事業とは、来店客に満足してもらいつつ、球場など委託先の要望もくみ取ることが求められる。
「大手チェーン店の規模で展開をしながら、各店舗が個人店に近い対応を求められる業態は、他社がなかなかやりたがらない」と谷酒氏。あえて効率が悪い領域に参入したポジショニングが奏功し、一気にコントラクト事業が拡大したと言えそうだ。
ゴミ処理を請け負うことも
一見、120近いブランドを展開するのは骨が折れるよう思えるが、オペレーションを確立してうまく効率化させている。
「一例を挙げると、ホテル内のレストランを複数運用する際、料理のだしは共有しつつ、味付けや盛り付けを微調整することで、うまくオリジナリティーを感じられるよう、別メニューとして提供しています。
あるいは委託先から『地産の食材を使ってほしい』という要望も多いため、物流を他社に委託するとコスパが悪い。一見、効率が悪いように映るが、あえて自社トラックを走らせているのもポイントです。そうすればある店舗で出た余剰の食材を、周辺の売店に回してさばくこともできる。うまくノウハウとリソースを共有して出店網を広げています」(谷酒氏)
また、地道な要望に応え続けることで、生産者をはじめ土着のネットワークも強固になった。
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