店舗9割減の「養老乃瀧」を復活させた居酒屋"じゃない"事業とは? 5年で30億円規模に成長の"虎の子"実店舗レポ

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直近で取り沙汰されたコメ高騰時は、コメ農家と取引する機会が増えた。JAしか出荷先がなかった生産者と、養老乃瀧グループが直接仕入れ交渉を行うことで、生産者はJAに出荷するよりコメを高値で出荷でき、養老乃瀧は流通価格より安価に調達できる、双方でウィンウィンの関係が生まれた。

また、何店舗も売店を運営する球場では、一帯から出るゴミ処理を一括して請け負うようになった。その事例が耳に留まり、地元企業から「社食を展開してほしい」と依頼が来たこともあった。薄利ながら手間がかかる要望に応えることで、委託先や生産者との連携も強くなり、出店の機会に恵まれるようになった。

原価率を30%近くに圧縮

コントラクト事業で得られた知見は、水面下で居酒屋業態にも生きている。

その顕著な好例が「原価率の削減」だ。前述した通り、コントラクト事業では、金太郎飴のような均一化した展開が敬遠される。そのためブランド毎に、味付けや盛り付けを工夫するよう求められる。こうした調理技術の手数が増えたことが、居酒屋事業での原価率の圧縮に貢献している。

「実はいま、当社が展開する『一軒め酒場』で、仕入れた加工品をそのまま提供しているのは、きゅうり一本漬(税込319円)など数品目しかありません。なぜかというと、加工品をそのまま仕入れると原価率が上がってしまうので、店舗で仕込みや味付けを行って利益率を上げているのです。

唐揚げを引き合いに出すと、粉や味付けの配合を徹底的に研究しています。例えば醤油でも、1本1000円と1200円のものでは味わいが異なります。鶏肉そのものの価格を上げるよりも、調味料の質や調理技術を高めるほうが、味が良くなるうえに原価の上昇を抑えられる。もちろん食材の選定は慎重に行いますが、それ以上に最適な仕込み方法を追求して、全体の原価率を抑える工夫を凝らしています。

一軒め酒場はリーズナブルなぶん、薄利多売と勘違いされがちですが、ふたを開ければすべての料理で粗利を取れている。かつてはウニやイクラなどを使うメニューもありましたが、高価な素材でなくても美味しくなるよう日々刷新を続けることで原価率を抑えているのです」(谷酒氏)

一軒め酒場
リニューアルした一軒め酒場の外観(筆者撮影)
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