店舗9割減の「養老乃瀧」を復活させた居酒屋"じゃない"事業とは? 5年で30億円規模に成長の"虎の子"実店舗レポ

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実は養老乃瀧グループ、約5年前から、コントラクト事業(委託先の施設内で展開する売店)に本腰を入れている。コロナ禍で居酒屋業態が壊滅的なダメージを受け、同社の業績は2019年度の約192億円から、2021年度の約52億円にまで落ち込んだ。そこで社の存続をかけて新事業に肩入れを始めたわけだ。

実際に、店員におすすめされた、唐揚げの「極旨タレもも(税込700円)」、ポテトフライの「アンチョビマヨ(税込700円)」を頼んでみた。大きめな唐揚げを齧ると、肉感のあるもも肉に、味噌とガーリックが効いたタレがよく合う。アンチョビマヨはソースがこってりとしているが、ポテトの表面に刻んだ大葉がまぶされており、くどさが抑えられている。どちらもクオリティが高く、味付けに工夫が施されているのがわかる。

ポテトフライの「アンチョビマヨ」(筆者撮影)

そしてなにより、“ザ・居酒屋メシ”といった感じで味が濃く、アルコールが欲しくなる。思わず追加注文したビールで、揚げ物を流し込む瞬間がたまらない。まさに居酒屋事業で培ってきた知見が凝縮されている。

現在コントラクト事業は、川崎を含む5つの競馬場に、セ・パ12球団のうちの8球場、苗場やニセコなど観光エリアのレストラン、ショッピングモール内、大学や企業の食堂などに、計120近くの事務所を展開しているという。

業績も好調で、2025年度の売り上げは30億円を超える見込みだ。2023年度の養老乃瀧グループ全体の業績が約130億円であることを鑑みれば、直近5年で社の売上構成比の約25%を占める概算となる。2024年には、飲食店運営や施設の受託事業を行う企業を完全子会社化し、コントラクト事業の大半を集約して腰を据える構えだ。

5年で120近いブランドを展開

“非・居酒屋事業”が、成長ドライバーとなっている養老乃瀧グループだが、なぜここまで短期間で事業を拡大できたのか。

いち消費者からすれば、坪数も商材もある程度限られているため、オペレーションが回しやすい印象を受ける。それゆえに参入障壁が低く、短期間で全国各所に展開できたのではないか――。

そうした先入観をぶつけると、養老乃瀧取締役副社長の谷酒匡俊氏は、「実情はまったく異なる」と説明する。

「コントラクト事業は、居酒屋のチェーン展開のように、オペレーションを均一化できない。正直なところ、効率が良いか悪いかで言えばあまり良くないんです。

一例を挙げると、ある野球選手が、引退を発表しておらず、明日の試合で引退すると急に告げられるケースがあります。そうした場合、我々は球場側から、引退選手にちなんだお弁当を用意するよう求められことがあります。すると社内で、どのようなメニュー構成にするか、食材は何百人分調達すればいいのか、前日から急ピッチで企画から仕込みまで進めないといけないわけですね。

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